出版社内容情報
生糸は綛(かせ)と呼ばれる束にして販売されるが、綛の大きさや仕様は国により、また地方により、様々であった。欧米では、綛をフワリと呼ばれる枠に掛けボビンに巻き取ってから加工していたが、様々な大きさの綛に合うようにフワリを交換しなければならず、煩雑な作業を強いられていた。その中で、1870年代末から日本産生糸の綛は、フワリを高速で回転させるのに最適な大きさ(綛長1メートル50センチ)に統一され(綛の標準化)、フワリを交換する手間を省くと同時に、取り扱い容易な形にまとめられるようになっていった。綛長を1メートル50センチにすることは外国にも広まり、今日の製糸業界でもこれを採用している。製糸業は、日本で最初にグローバル・スタンダードを握った産業だったのである。本書は、日本産生糸が特にアメリカで歓迎され、市場の開拓に成功・拡大していくグローバル・ヒストリーを描く。
内容説明
生糸は綛(かせ)と呼ばれる束にして販売されるが、綛の大きさや仕様は国により、また地方により様々であった。欧米では、綛をフワリと呼ばれる枠に掛けボビンに巻き取ってから加工していたが、様々な大きさの綛に合うようにフワリを交換しなければならず、煩雑な作業を強いられていた。その中で、1870年代末から日本産生糸の綛は、フワリを高速で回転させるのに最適な大きさ(綛長1メートル50センチ)に統一され(綛の標準化)、フワリを交換する手間を省くと同時に、取り扱い容易な形にまとめられるようになっていった。綛長を1メートル50センチにすることは外国にも広まり、今日の製糸業界でもこれを採用している。製糸業は、日本で最初にグローバル・スタンダードを握った産業だったのである。本書は、日本産生糸が特にアメリカで歓迎され、市場の開拓に成功・拡大していくグローバル・ヒストリーを描く。
目次
序章 横浜開港と生糸輸出の始まり
第1章 日本産生糸の品質低下
第2章 器械製糸の導入
第3章 アメリカ絹工業が生糸に求めた要件
第4章 アメリカ市場への進出と綛の標準化
第5章 信州上一番格生糸の意義と限界
第6章 生糸生産者による品質の選択
第7章 欧米における日本産生糸の用途
終章 海外市場における日本産生糸の流通
著者等紹介
大野彰[オオノアキラ]
1985年関西学院大学大学院経済学研究科博士課程後期課程単位修得退学。現在、京都先端科学大学特任教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。