出版社内容情報
英知を創造する社会、ケンブリッジ。本書では経済・哲学・文芸など幅広い視点から ケンブリッジ学派の現代的意義を問う。「ケンブリッジ学派」は、マーシャル、ケインズ、ピグーと、綺羅星のごとき経済学者を生み出してきた。だが、これまでこの学派 を多面的側面から捉えた研究はかなり限られていたと言っていい。緊張と革新を繰り返しながら展開を遂げてきたこの学派の現代的意義とはいかなるものか。第一線の研究者により理論・思想・政策・哲学・文化といった幅広い視野からケンブリッジ学派の全体像を捉える問題提起の書。
序 章 ケンブリッジ 知の探訪(西沢 保・平井俊顕)
1 展望的描写
2 各章の概要
第?部 マーシャルの経済思想とピグーの厚生経済学
第1章 マーシャルとケンブリッジ学派――マーシャル型の新古典派(藤井賢治)
1 「マーシャル型の新古典派」と「ワルラス型の新古典派」
2 「限界革命」とマーシャル
3 二つの「新古典派」
4 「マーシャル型の新古典派」の特徴
5 マーシャルの復活
第2章 マーシャルの経済思想――「進歩」と福祉・幸福の追究(西沢 保)
1 「時代の精神」
2 19世紀における人間性の進歩と生物学的思考
3 「生活基準」との関係における進歩
4 富と生,仕事と生活,富と活動の科学
5 進歩=有機的成長の基礎――道徳,教育,環境
6 経済的将来の可能性――社会哲学と資本主義観
第3章 ケンブリッジの厚生経済学(山崎 聡・高見典和)
1 厚生経済学への歴史的視点
2 シジウィックの功利主義的経済学
3 マーシャルの可塑的人間観と余剰概念
4 ピグー――ケンブリッジ厚生経済学の集大成
5 ケンブリッジ学派の評価
第?部 ケインズ革命をめぐって
第4章 ケインズ革命とは何か――マーシャルからケインズへ(小峯 敦)
1 「ケインズ革命」の論じ方
2 トライポスの創設とその改定
3 マーシャル的伝統の確立
4 「ケンブリッジ学派」の形成
5 「ケインズ革命」の確立
第5章 マーシャル経済学からケインズ経済学へ――1930年前後のケンブリッジにおけるカーンの役割(袴田兆彦)
1 ケンブリッジにおけるマーシャルの伝統
2 マーシャルの経済学
3 カーンの略歴――1933年まで
4 カーンの思考とその発展
5 ケインズへの影響
6 カーンとケインズ
第6章 ケンブリッジ学派の景気循環論(下平裕之)
1 マーシャルの景気循環論とその展開
2 ロバートソンによる実物的景気循環論の展開――『産業変動の研究』
3 信用経済における景気循環論の展開――『銀行政策と価格水準』
4 景気循環と利子率――『貨幣論』から「産業変動と自然利子率」へ
5 『一般理論』とその批判
6 ロバートソンの景気循環論の到達点――『経済原論講義』
7 ロバートソンとケンブリッジ学派の景気循環論
第7章 ケインズ経済学の貨幣的側面――ポスト・ケインジアンによる貨幣経済理論の展開(渡辺良夫)
1 貨幣経済理論の着想
2 貨幣的均衡アプローチ
3 金融不安定性アプローチ
4 内生的貨幣アプローチ
5 ケインズ貨幣経済理論の現代的意義
第?部 ケンブリッジの哲学・社会哲学・文芸
第8章 ケインズにおける哲学・芸術・経済学――啓蒙主義対ロマン主義の構図に照らして(塩野谷祐一)
1 ケインズの全体像を求めて――総体としての多面性
2 ロマン主義とは何か
3 ケインズの哲学
4 ケインズの哲学の総括と解釈
5 結 語
第9章 戦間期ケンブリッジの社会哲学――市場経済の病弊と治癒(平井俊顕)
1 マーシャルの時代――素描
2 ケインズ――「ニュー・リベラリズム」
3 ピグー――社会主義か資本主義か?
4 ロバートソン――自由主義的干渉主義
5 ホートリー――資本主義にたいする倫理的批判
6 ケインズの時代
第10章 ケンブリッジの哲学状況(伊藤邦武)
1 ケンブリッジの経済学者と哲学者
2 ラッセルとムーア
3 前期ウィトゲンシュタイン
4 論理実証主義
5 後期ウィトゲンシュタイン
第11章 ブルームズベリー・グループ(中矢俊博)
1 ケインズとブルームズベリー・グループ
2 ブルームズベリー・グループの特徴
3 メンバーの個性と交流
4 ケインズの多様性に富んだ人生
あとがき
人名・事項索引
西沢 保[ニシザワ タモツ]
編集
平井 俊顕[ヒライ トシアキ]
編集
内容説明
「ケンブリッジ学派」は、マーシャル、ケインズ、ピグーと、綺羅星のごとき経済学者を生み出してきた。だが、これまでこの学派を多面的側面から捉えた研究はかなり限られていたと言っていい。緊張と革新を繰り返しながら展開を遂げてきたこの学派の現代的意義とはいかなるものか。第一線の研究者により理論・思想・政策・哲学・文化といった幅広い視野からケンブリッジ学派の全体像を捉える問題提起の書。
目次
ケンブリッジ 知の探訪
第1部 マーシャルの経済思想とピグーの厚生経済学(マーシャルとケンブリッジ学派―マーシャル型の新古典派;マーシャルの経済思想―「進歩」と福祉・幸福の追究;ケンブリッジの厚生経済学)
第2部 ケインズ革命をめぐって(ケインズ革命とは何か―マーシャルからケインズへ;マーシャル経済学からケインズ経済学へ―1930年前後のケンブリッジにおけるカーンの役割;ケンブリッジ学派の景気循環論;ケインズ経済学の貨幣的側面―ポスト・ケインジアンによる貨幣経済理論の展開)
第3部 ケンブリッジの哲学・社会哲学・文芸(ケインズにおける哲学・芸術・経済学―啓蒙主義対ロマン主義の構図に照らして;戦間期ケンブリッジの社会哲学―市場経済の病弊と治癒;ケンブリッジの哲学状況;ブルームズベリー・グループ)
著者等紹介
西沢保[ニシザワタモツ]
1950年生まれ。1983年一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。2008年博士(経済学、一橋大学)。現在、帝京大学経済学部教授
平井俊顕[ヒライトシアキ]
1947年生まれ。1977年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。現在、上智大学名誉教授、ケインズ学会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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