出版社内容情報
日本と中国から承認を求める境界人たちの生活世界とは。聴き取り調査に基づく最初の体系的な探究の書。長年の緻密な聞き取り調査に基づいて描き出す、日本と中国を生きる華僑華人の躍動的な人生ドラマ。彼らの一国に束縛されない生き方を「越境」と「承認」というキーワードを根幹に、生活の再建、二世の教育、福祉認識、老いと死の受容から究明する。日中の近代化の格差の産物である在日華僑華人問題は、現代社会での普遍的な問題にもつながる。東アジアと国際社会への理解の第一歩にもなる意欲的な論考。
序 章 在日華僑華人の現代社会学的価値
1 一国社会学と国際社会学
2 国家の外と社会の周辺
3 在日華僑華人への現代社会学的視点
第一章 越境と生活の再建
1 日本の「パチンコ王」への道
2 横浜中華街における華僑社会の再建と商売
3 病院の開業
4 大学での就職
5 マッサージによる生活
6 生活の再建を支えているもの
第二章 華僑華人二世の教育と影響
1 老華僑華人の子どもの教育
2 新華僑の子どもの教育
3 同化への抵抗と同調
4 華僑華人の世代間の亀裂
第三章 新華僑を取り巻く日中の社会福祉
1 障害者新華僑の日中社会福祉の体験
2 日中を生活の拠点とする新華僑の福祉問題
3 国民国家化・国際化と社会福祉
補 日本の社会保障制度における外国人の位置づけとゆくえ
第四章 異国における老いと死の受容
1 老華僑華人にとっての親の老いと死
2 新華僑にとっての親の老いと死
3 自分の老いと死
4 老いと死の受容を左右する諸要素
終 章 在日華僑華人問題の本質
1 近現代の社会変動の産物としての華僑
2 日中間の近代化格差を生きる華僑華人
3 華僑華人と祖国との相互利用
4 国民国家から逃走する華僑たち
5 華僑華人と中国残留孤児との異同
6 東アジア人の原初形態としての華僑華人
あとがき
参考文献
索引
鍾 家新[ショウ カシン]
2017年2月現在 明治大学政治経済学部教授
内容説明
在日華僑華人は日本と中国を生きる移民集団である。長年の参与観察と大量な聴き取り調査から、異国日本での生活の再建、二世の教育、彼らを取り巻く日中の社会福祉、親と自身の老い・死の受容を中心に、急激な社会変動が、越境する個人や家族に与えた影響を社会学的に究明し、現代における個人と国家の本質に迫る。
目次
序章 在日華僑華人の現代社会学的価値
第1章 越境と生活の再建
第2章 華僑華人二世の教育と影響
第3章 新華僑を取り巻く日中の社会福祉
第4章 異国における老いと死の受容
終章 在日華僑華人問題の本質
著者等紹介
鍾家新[ショウカシン]
1964年中国廣東省龍川縣生まれ(客家)。1986年中国華南師範大学卒業。1987年中国政府派遣留学生として来日。1988年筑波大学大学院博士課程社会科学研究科社会学専攻入学。1994年筑波大学大学院博士課程社会科学研究科社会学専攻修了、博士(社会学)。弘前学院短期大学講師・助教授、白梅学園短期大学助教授を経て、明治大学政治経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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