内容説明
吉田武彦が『「邪馬台国」はなかった』を発表して四四年、この間の全ての考古学・文献史学における新事実が、邪馬臺国が九州博多湾岸に存在したことを裏付けし、その科学的研究手法の正しさが証明されている。本書では、その絶え間ない研究を集大成する一方、三国志の中での倭人伝の驚くような位置づけ、長里と短里のフィロロギー、泄謨觚(せもこ)・柄渠觚(へくこ)の真実など、最新の研究成果を掲載する。
目次
1 短里で書かれた『三国志』
2 「邪馬壹国」の文物
3 二倍年暦
4 倭人も太平洋を渡った
5 『三国志』のハイライトは倭人伝だった
6 「邪馬臺国」と文字
7 全ての史学者・考古学者に問う
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ryoichi Ito
5
1971年出版の「「邪馬台国」はなかった」で古田武彦(2015年没)は,三国志魏志倭人伝に書かれている邪馬壹国は畿内ではなく博多湾岸にあったという説を唱えセンセーションを巻き起こした。本書は古田を支持するグループが最近の発展を含め,これまでの研究成果を取りまとめたものだ。古田説のポイントは,倭人伝に記された距離の単位「里」が約75mだということだ。これを認めれば卑弥呼のいた邪馬壹国が畿内にあるということはありえない。それにしても,「邪」馬壹国,「卑」弥呼,「倭」国などひどい卑しめようだ。 2019/02/16
hyena_no_papa
0
2016年刊というので、近年の古田氏における「魏西晋朝短里説」の取り扱いを調べたくて読む。最晩年の古田氏の文は少ないが、古賀達也氏が割合ページを割いているので読んでみる。あいかわらず「五里霧中」だの「千里の馬」だの、かねてからの事例について講釈を垂れているが、前世紀中に多く指摘された該説の問題点については取り上げようとしていない。安本美典氏、白崎昭一郎氏、篠原俊次氏、山尾幸久氏、原島礼二氏らの指摘により、該説が既に破綻していることを何故受け入れないのか。ファンの手前か?自分の体面か?戦前の体質と同じでは?