内容説明
ユング派心理療法は現代の問題に実践的な光を当てる。「第1部 解説編」では、歴史的背景を踏まえた理論的基礎をレクチャーする中で、今現在のこころの問題の源泉を探る。そして「第2部 事例編」では、11の臨床事例を著者が鮮やかに読み解く。「内面」と「深層」についてのとらえ方が劇的に変わる一冊。
目次
第1部 解説編(心理療法という場と主体性;近代の心理療法とユング心理学的アプローチ;中間対象としてのイメージ;物語と象徴;物語と象徴以前・以後;イメージとの関係)
第2部 事例編(言葉の遅れを主訴とする軽度自閉傾向の幼児期男児とのプレイセラピー;発達障害ボーダーと診断された小学生男児のイメージの世界―影、そして主体の誕生;性犯罪被害を受けた小学生女児の描画・箱庭表現―火の表現による再生;発達障害が疑われた幼児期女児をもつ母親との心理面接;接食障害の10代女性との心理面接―背後にある現代の意識;摂食障害を抱え、自分らしく生きる基礎を模索した10代のクライエントとの心理面接;アトピー性皮膚炎に苦しむ青年期女性の夢と言葉;「解離」した生活を送っていた20代女性との心理面接)
著者等紹介
河合俊雄[カワイトシオ]
京都大学大学院教育学研究科博士課程中退、phD.(チューリッヒ大学)。現在、京都大学こころの未来研究センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みずな
1
最初の1/3はユング派の説明、後は寄せられた事例に俊雄先生がコメントしている形。ユング派の理論は分かりやすく書いてあったと思います。実践に役立てる方法論ではなく、理解する為のベース。事例を読むのは楽しくて好きなんだけど、凄くエネルギーを消耗して疲れる……。ケースのまとめ方や考察の仕方とかも勉強になりました。2013/05/27
麗子
1
河合隼雄さんの著書を読んできて、臨床心理学の理論そのものよりも実際の臨床の場面についてより深く知りたくなり、実例の多く含まれているこちらを読んでみた。その実例も、かなり最近のものばかりで、河合隼雄さんの著書の各所に出てくる実例と比べて現代特有の心理が表れているようで興味深い。実例を読んでいると、本当にいろいろな人生があり、皆それぞれに懸命に生きていることが見え、感動的。2013/04/04