内容説明
現在までつづくヨーロッパ文明の要素の多くは、中世に、北フランス、ドイツ西部、北イタリアなどの西ヨーロッパ中核地域で生まれ、ヨーロッパ全域に普及した。本書は、このような中世ヨーロッパ文明を、宗教、政治経済から衣食住や芸術まで、15のテーマから読み解く。従来の時代順・国別の概説書とは異なる、新たな中世史概説テキスト。
目次
1 キリスト教世界の成立(キリスト教化と西欧世界の形成;ローマ・カトリック教会の発展 ほか)
2 統治の方法(戦争の技術と社会;貴族身分と封建制 ほか)
3 農業生産と交易(西欧的農業の誕生;都市という環境 ほか)
4 人々の生活(衣服とファッション;融合する食文化 ほか)
5 文化と芸術(知の復興と書物の変容;見えないものへのまなざしと美術 ほか)
著者等紹介
堀越宏一[ホリコシコウイチ]
1992年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。フランス・ナンシー大学大学院博士課程修了、歴史学博士。現在、早稲田大学教育・総合科学学術院教授
甚野尚志[ジンノタカシ]
1983年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。2009年博士(文学、早稲田大学)。現在、早稲田大学文学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サアベドラ
16
キリスト教、統治と戦争、農村と都市、人々の生活、文化と芸術の5つのカテゴリーからそれぞれ3つずつ、合計15のテーマで中世ヨーロッパ世界を描き出す大学生向けテキスト。同じ編者による『中世ヨーロッパを生きる』の続編的位置付けの本で、政治史と文化史、社会史を並列して提示するという発想は、本書でも参考文献に挙げられているバートレット『ヨーロッパの形成』が元ネタ。こういうやり方は社会史の流行のあとのそれを従来の国制史、政治史と統合し、一つの歴史空間を提示する方法として、一定の効果を上げているように思える。2013/05/08
塩崎ツトム
14
1000年近くあった中世というくくりで、教会はどんな風に社会に根をはり、農工業は変化し、戦争は変わり、学問は発展したのか。1000年という時代、人の頭の中もだいぶ変わっているのである。グーテンベルクの活版印刷の前段階として、写本用に章ごとに分けた分冊が学生向けにレンタルされたり、ABC順の辞書や用語集が造られたり、現在につながる「学びのための工夫」が整えられていった過程が面白い。2025/05/20
ノルノル
3
初版2013年、7刷2021年。9年前の学部向け中世ヨーロッパ入門書が未だにその役割を果たしているという良書。宗教面がやや物足りないので、それは他で補うとよろし。2022/07/26
汲平
2
読み物としても面白く勉強になる。この手の書籍では通常語られることの少ない音楽や、服飾、食べ物についてもきちんと立項していて楽しめる。スペインの項は特殊な用語が多いので繰り返し読み直す必要あり。2013/05/26
Go Extreme
1
ヨーロッパ文明: 他地域との関係を重視 過度な相対化→世界史の理解を歪める ヨーロッパ文明を過小評価→本質を見失う 中世ヨーロッパ文明: 現代西洋社会の基盤形成 生活や環境に関する議論不足し 教会: 教会敷地内での埋葬が権威を高め周囲に居住が発展 人口増加→小教区再編・都市部で教会新設 法と文書の発展: 11世紀以降ーローマ法復興と法文書標準化 公証人制度が確立→私的法行為の認証 農業の発展: 三圃制度導入→耕作技術↑ フランク時代の農業→中世の基盤 農業、教会、法制度の発展が文明形成に重要な役割2025/02/06