内容説明
「歌そのものが直接史料であり、第一史料である」「真実の多元史観に基づかなければ、万葉集は解けない」。この根本の立場から、あくまで原文に忠実に万葉集を読んだ古田武彦がたどりついた真実。長文の書き下ろし「日本の生きた歴史」を新たに加えて、待望の復刊。
目次
疑いの扉「天の原」の歌
失われた「篭もよ」の歌
豊後なる「天の香具山」の歌
いずこなる「春すぎて」の歌
あやまれる「高山」の歌
天国の「香具山」をさかのぼる
太宰府の「中皇命」の歌
雷山の絶唱
万葉集成立論
万葉集の深淵〔ほか〕
著者等紹介
古田武彦[フルタタケヒコ]
1926年福島県生まれ。旧制広島高校を経て、東北大学法文学部、日本思想史科において村岡典嗣に学ぶ。長野県松本深志高校教諭、神戸森高校講師、神戸市立湊川高校、京都市立洛陽高校教諭を経て、1980年龍谷大学講師。1984~96年昭和薬科大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tocyaya
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寝る前に読み直していた本を読み終わった。古田氏の万葉解釈を読むと、これまでの万葉学者の解説がいかに文献学的に不適切であったかがわかる。そして、氏の解説による新しい柿本人麿像が魅力的に迫ってくる。万葉集は恋の歌だけにあらず、激しい歴史の激動を描いたものでもあることが浮き彫りにされる。学会に無視されたまま世を去った著者だが、真実は常に学閥よりも強い。真実を求める読者がいる限り古田史学は生き残っていくのだと思う。続けて『壬申大乱』を読む予定。『人麿の運命』と合わせて、古田氏による万葉集3部作の最終巻だ。2019/09/18