内容説明
岩崎弥太郎(一八三五~八五)実業家。入獄、藩職を辞すなど腰の据わらない青年時代を過ごすが、長崎に出向いたことから、藩の貿易業務に従事する。維新後、三菱商会を発足させ、「政商の時代」を築いた。この豪快な物語は虚実ないまぜに語られてきたが、本書では資料と時代背景から、三菱発展の真相と人間岩崎弥太郎の等身大の姿に迫る。
目次
第1章 長い荊の道
第2章 遅れて来た青年
第3章 三菱事業の発祥
第4章 政商岩崎弥太郎の誕生
第5章 西南戦争と三菱の海運独占
第6章 三菱批判の展開
著者等紹介
武田晴人[タケダハルヒト]
1949年東京都生まれ。1979年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学(1988年、経済学博士)。東京大学社会科学研究所助手、同大学経済学部助教授・教授を経て、東京大学大学院経済学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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newborn
4
三菱ほどの大企業の創始者で海運のシェアを独占した男ではありましたが、伝記を読む限り必死に生き残りをかけて悪戦苦闘してきたのだなという印象を持ちました。はたから見れば順調に見えるような大会社でも見えない所ではわれわれと同じような将来への不安を感じながらも仕事に邁進していたのですね。 20代中盤まで色んなことに手を付けてみるも 何事も上手く続かず バカ息子を絵に描いたような人生を送っていますが そういう人間が成功するとかえって 僕たちも好き勝手生きたっていいんじゃないかなと落ち着いた心になれます2018/08/25
鈴木貴博
0
岩崎弥太郎の評伝。何度も機会を掴み損ねた「遅れて来た青年」が四十代になってやっと自らの本格的な事業を始め、五十二歳で生涯を終えるまでの僅か十数年の間にその才覚と胆力と共に時代の波にも乗って成功を収め、大三菱財閥の基礎を築くに至る。その過程を興味深く学んだ。これまで何となくしか分かっていなかった、岩崎の生い立ちと土佐藩での地位、岩崎と他の土佐幕末人との関係、海援隊・土佐藩の事業と三菱の関係、維新時・明治期の後藤象二郎と岩崎の関係等々もよく理解できた。2018/07/09