内容説明
日本の成年後見制度は、法律上、財産管理を中心に展開しており、実務運用も後見人目線での「保護」の姿勢に偏りがちである。だが、英国の成年後見制度は、本人の生活全般にわたる個々の意思決定に際して、本人が自己の判断能力だけでは果たせない部分を、その部分に限り、後見人が支援して決定に導くという姿勢をとっている。本書は、世界的に注目されている同制度の詳細な解説と共に、その基本理念、社会的背景に着目し、多角的分析を行う。
目次
序章 イギリス成年後見制度序説
第1章 2005年意思決定能力法―The Mental Capacity Act 2005
第2章 意思能力の判断と自律支援―日本法とイギリス法
第3章 「ベスト・インタレスト」論
第4章 任意後見制度と法定後見制度―分離と統合
第5章 家族と成年後見制度―任意後見、医療同意、日常生活支援
第6章 自律支援の理念と損害賠償法―「二重の支援構造」の構築
第7章 成年後見制度の新たなグランド・デザインに向けて―支援をめぐる家族、市民、社会、国家の役割
著者等紹介
菅富美枝[スガフミエ]
早稲田大学法学部卒業。大阪大学大学院法学研究科修士課程修了。オックスフォード大学大学院法学研究科修士課程修了。博士(法学)。大阪大学大学院法学研究科、武蔵野大学現代社会学部専任講師を経て、法政大学経済学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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