内容説明
ロンドン海軍条約の調印から批准に至る波瀾万丈の成立過程を克明に描写した歴史物語。「国防の欠陥」有るや無しや、「統帥権干犯」か否か。批准をめぐる国内政治の大紛糾、政治家・軍人・天皇側近等の思惑の交錯する緊迫感を、膨大な史料に基づき臨場感溢れるタッチで再現した「読める学術書」。
目次
二つの「終りの始り」―国際協調と政党政治
英米海軍軍縮予備交渉
若槻全権団の編成
若槻全権の対米・対英予備交渉
ロンドン海軍会議(一)―アメリカ試案
ロンドン海軍会議(二)―請訓
ロンドン海軍会議(三)―海軍回訓案
ロンドン海軍会議(四)―回訓
ロンドン海軍会議(五)―調印
帝国議会(一)―政友会の統帥権論と首相の答弁回避方針
帝国議会(二)―首相の答弁方針の変化とその限界
軍事参議官会議(一)―海軍部内の統帥権問題
軍事参議官会議(二)―加藤の辞職
軍事参議官会議(三)―奉答文の決定
枢密院審査委員会(一)―政府と枢府の論争
枢密院審査委員会(二)―政府と枢府の対決
剰余金の配分―政府対海軍
著者等紹介
関静雄[セキシズオ]
1947年9月生まれ。京都大学大学院法学研究科博士課程修了。京都大学法学部助手、帝塚山大学教養学部教授を経て、帝塚山大学法政策学部教授(日本政治外交史専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鏡裕之
2
統帥権干犯を持ち出した政友会。それに対してきっちり反論しなかった浜口首相。こうやって日本は崩されていくのか……という感じ。正直、日本の組織のぐだぐだぶりを読まされている感じがして、『ミュンヘン会談への道』よりも、登場人物に対する呆れが強かった。2018/06/02
Naoya Sugitani
1
二段組みかつ400頁越えという気の遠くなるような大著。肩書は「読める学術書」ということで、史料を著者が口語訳している。が、やはりボリュームが大きい。内容はこれでもかというぐらいロンドン海軍条約の成立過程がひたすら描かれている。もうこれでロンドン海軍条約について描くことはないのではと思うぐらい、条約をめぐる政治過程が一日単位で詰め込まれている。若槻礼次郎や浜口雄幸、加藤寛治、岡田啓介等といった重要人物の一挙手一投足が、過言でなく、本当に全て描かれている。まさに実証史学の神髄はここにありといったところか。2018/03/07
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