内容説明
本書は、ヴィクトリア朝=「中流階級興隆」史観が支配的であった20世紀前半に出版され(1936年)、1950~60年代以降一気に開花する「中流階級興隆」史観批判の先鞭を付けたG.M.ヤングの古典的名著の全訳である。すなわち、ヴィクトリア朝イングランドの政治と社会についての今日の通説の基本的枠組み、ヴィクトリア時代を通じて貴族・ジェントリの支配が持続したこと、また科学の合理主義を担って興隆したブルジョワ中流階級はジェントルマン教育を通じて貴族・ジェントリの文化に取り込まれてしまったという歴史認識などが披瀝されている。本書が古典である所以は、何よりも宗教・思想・文学も含め、ヴィクトリア時代史の全体像を、「イングランド精神」の発展史としてあたかも一人物の肖像画を描くように、マコーレー流の筆致で描ききったことにある。
目次
前編(福音主義と時代色;功利主義と福音主義;新時代の展開と体質;人口・貧困・リスペクタビリティ ほか)
後編(普仏戦争と陸軍改革;政治・思想・宗教の転換;進歩から進化へ;民衆教育の改革 ほか)
著者等紹介
松村昌家[マツムラマサイエ]
1929年生まれ。大阪外国語大学英語学科卒業。大阪市立大学大学院修士課程修了。大手前大学大学院教授。専攻は、ヴィクトリア朝文学・文化
村岡健次[ムラオカケンジ]
1935年生まれ。京都大学文学部史学科卒業。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。和歌山大学・甲南大学名誉教授・文学博士。専攻は、近代イギリス史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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