内容説明
源義経(一一五九~八九)、武将。治承・寿永内乱期、いわゆる源平時代に、時代の寵児のごとく史上に現れ、大きな活躍ののち、儚く消えていた源義経。その短く劇的な生涯を、戦士としての側面に注目しつつ、丹念に追う。
目次
序章 義経の略歴と史料
第1章 義経の登場
第2章 木曽義仲追討と治承・寿永期の武具と戦闘
第3章 一ノ谷合戦
第4章 屋島合戦から壇ノ浦合戦へ
第5章 義経の没落
終章 義経の生い立ちと戦士能力の育成
著者等紹介
近藤好和[コンドウヨシカズ]
1957年神奈川県生まれ。1987年国学院大学大学院文学研究科博士課程後期日本史学専攻単位取得退学。2002年博士(文学)(広島大学)。現在、国立歴史民俗博物館客員助教授。早稲田大学文学部・駒沢大学文学部非常勤講師。専攻は有職故実
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感想・レビュー
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中島直人
9
著者初めての人物評伝ということでか、非常に慎重な筆の進め方が目立ち、面白みには欠ける。鞍馬天狗云々はともかく、鵯越虚構との説があるんpには驚いた。それ以外は特に新たな発見等なく、あっさり終わってしまった印象強し。学術的な側面重視だとやむを得ないのか。2016/11/05
フランソワーズ
7
『平家物語』諸本、『吾妻鏡』、『玉葉』、『愚管抄』などの記述をひきながら、最も整合性が取れると思われる史実に迫ろうとする本書。ただ著者自らが、有職故実が専門と仰っておられるだけに、その方面では詳細ながらも、評伝としてはちょっと偏りがあるかと。2022/06/11
うしうし
3
市民図書館本を借読み。何よりも衝撃的なのはp127の「断崖絶壁を降りる騎馬訓練」の写真。義経が屋島の戦いで行ったという騎馬による「坂落とし」は、訓練次第で十分可能とする。また「腰越状」にも義経が坂落としを行った表現があるとする(p190)のは、筆者の独自見解。ただし、坂落としにも腰越状にも近年の史料批判や偽文書説があることも併記している。ただ、著者が「頼朝挑発説」と呼称する内容(頼朝が義経を通じて、後白河に自らを追討させる宣司を出させた、p202)については疑問を感じた。2015/04/22