内容説明
この本は、イギリス史の中でもことのほか活力に富み、政治の言葉も経済の言葉もひとしく闘いよりは均衡を志向した時代に生きた数々の人びとの軌跡にかかわっています。そのすべてのケースについて、個人の性格と行動の相互の関係が論じられるだけでなく、それら個人の影響がその時期にどう描かれ、また、その後の時代にはどう描かれたかということも論じられています。
目次
第1章 序文
第2章 水晶宮と1851年の群像
第3章 ジョン・アーサー・ローバックとクリミア戦争
第4章 トロロプ、バジョットとイギリスの国制
第5章 サミュエル・スマイルズと仕事の福音
第6章 トーマス・ヒューズとパブリック・スクール
第7章 ロバート・アップルガースと労働組合
第8章 ジョン・ブライトと改革の信条
第9章 ロバート・ロウと民主主義の恐怖
第10章 ベンジャミン・ディズレーリと暗中飛躍
第11章 結び
A.ブリッグズ主要著作目録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
4
題名にも拘らずロンドン大博覧会の1851年から第二次議会改革法の1867年までの中期に限定されてる。それには理由があって、激動の19世紀における凪の時代。大きな事件がないため、当時はあまり研究の対象にならなかった。だから「均衡」の時代として後に懐かしまれるようになった。だが、よき歴史家として著者は歴史の連続性を強調する。中期の均衡も時によって浸食されてる。古き世代の終わりは若い世代の始まりであって、しかも世代は切れ目なく交代してる。奇しくもマルクスがロンドンに蟄居して『資本論』を構築していた時期でもある。2025/04/28