出版社内容情報
◆ 1900年、ダフィット・ヒルベルトは今日「ヒルベルトの問題」として知られる23の未解決問題のリストを提示した。以来、簡潔にして深遠なそれらの問題を解くことは、多くの優れた数学者たちにとっての「甘美な夢」となり、続く世紀の数学の体系的発展の原動力となった。本書はその多岐にわたる成果を道標として、20世紀の激動の中でそれらの問題に挑んだ俊秀たちの学問的足跡をたどる。
◆ 問題のそれぞれに誰が、どんな解決を見いだしたのか。19世紀末に明らかになった大きなパラドックスが、いかに革新をうながし、問題の解決と未解決の両側から発展的に新しい数学を生みだしたか。二度の大戦中を含む抑圧と迫害の時代に、数学はどのように営まれたのか。最も“純粋”に数学的だと見なされていた問題から、いかに物理学や情報科学に結びつく領域が拓かれたか……。
◆ 著者は関連文献の渉猟はもちろん、数学者たち当人や多数の関係者への取材を丹念におこない、解法の鍵となったアイデアを示すとともに、20世紀の「数学する人生」をも活き活きと再現している。
◆ 構想の大きさと深い味わい、数学的着眼の鋭さを絶賛され、2008年のアメリカ数学協会(MAA)オイラー図書賞を、著者の没後にもかかわらず受賞した卓越の一著である。巻末に、1900年のヒルベルトの記念碑的講演論文「数学の問題」の全訳を付録。
内容説明
新しい数学の起点となる未解決問題を解く―この「甘美な夢」を追った俊秀たちの20世紀、そして、彼らが拓いた広大無辺な数学の世界。アメリカ数学協会第2回オイラー図書賞受賞。ヒルベルトの「数学の問題」全訳を巻末に付録。
目次
20世紀の数学の原点
基礎論の問題(1、2、10)
特定分野の基礎に関する問題(3、4、5、6)
数論に関する問題(7、8、9、11、12)
代数学と幾何学に関する問題(14、15、16、17、18)
解析学に関する問題(13、19、20、21、22、23)
振り返るべき時がきた
付録