出版社内容情報
対立する二陣営が戦い軍事的な優劣によって政治的取り決めを行う。こうした旧来の戦争を自由陣営が今後主体的に戦うことはほぼないだろう。21世紀に欧米が関わった新しい戦争の本来の目的は治安の確立維持で、戦果ではない。そこでは戦争は政治の直接的な手段となっている。
英陸軍士官としてアフガニスタン紛争を戦った(2006-12年)著者は、欧米がそれを旧来の戦争概念で捉えたために暴力を拡散する結果を招くのを見た。本書はその戦場から放たれた批判の書であり、オックスフォード大学の歴史学徒であったこの青年による著作を、軍事史の大家マイケル・ハワードは「クラウゼヴィッツ『戦争論』の終結部と呼ぶに相応しい」と激賞した。
武力を否定しない点でこれは反戦の書ではない。所謂「テロとの戦い」の正当性は疑うべきだ。しかし本書の理論が実践されれば愚かな戦いは減るだろう。現代の戦略思考はオーディエンスへの説得力を具え、合理性、感情、道徳的一貫性への配慮を必要とする。問題は勝敗ではなく、戦闘は意味を付与される言語なのである。「この議論がもたらすパラダイムシフトは戦場を遥かに越えて意味をもつ」(ニーアル・ファーガソン)。戦争を問う現代の必読書。
内容説明
対立する二陣営が戦い軍事的な優劣によって政治的取り決めを行う。こうした旧来の戦争を自由陣営が今後主体的に戦うことはほぼないだろう。21世紀に欧米が関わった新しい戦争の本来の目的は治安の確立維持で、戦果ではない。そこでは戦争は政治の直接的な手段となっている。英陸軍士官としてアフガニスタン紛争を戦った(2006‐12年)著者は、欧米がそれを旧来の戦争概念で捉えたために暴力を拡散する結果を招くのを見た。本書はその戦場から放たれた批判の書であり、オックスフォード大学の歴史学徒であったこの青年による著作を、軍事史の大家マイケル・ハワードは「クラウゼヴィッツ『戦争論』の終結部と呼ぶに相応しい」と激賞した。武力を否定しない点でこれは反戦の書ではない。所謂「テロとの戦い」の正当性は疑うべきだ。しかし本書の理論が実践されれば愚かな戦いは減るだろう。現代の戦略思考はオーディエンスへの説得力を具え、合理性、感情、道徳的一貫性への配慮を必要とする。問題は勝敗ではなく、戦闘は意味を付与される言語なのである。「この議論がもたらすパラダイムシフトは戦場を遙かに越えて意味をもつ」(ニーアル・ファーガソン)。戦争を問う現代の必読書。
目次
序論
第1章 戦争の言語
第2章 クラウゼヴィッツ的戦争と現代の紛争
第3章 グローバル化と現代の紛争
第4章 戦略的対話と政治的選択
第5章 自由障営と戦略的対話
第6章 プラグマティズムと作戦の思考
第7章 ボルネオ紛争(一九六二‐六六年)における英国の戦略
第8章 戦略ナラティヴ
第9章 戦略ナラティヴにおけるエートス、ヴィジョン、信頼
結論 現代の戦略思考
著者等紹介
シンプソン,エミール[シンプソン,エミール] [Simpson,Emile]
2005年オックスフォード大学卒業(古代史・現代史)。2006~12年英国陸軍王立グルカ連隊士官。2013年BPP大学法学準修士コース終了。2018年キングスカレッジ・ロンドンで博士号取得(国際法)。2016~18年ハーヴァード大学ジュニア・フェロー
吉田朋正[ヨシダトモナオ]
1968年生まれ。慶應義塾大学仏文科卒業、早稲田大学大学院英文科修了、東京都立大学博士課程単位取得満期退学。東京都立大学助手、東京医科歯科大学教養部助教授、首都大学東京准教授をへて東京都立大学教授。専門は批評史
菊地茂雄[キクチシゲオ]
防衛省防衛研究所政策研究部長。1968年8月4日、兵庫県神戸市生まれ。1991年、筑波大学第三学群国際関係学類卒、1996年、ジョージ・ワシントン大学エリオット国際関係学部修士課程修了。1991年4月、防衛庁防衛研究所採用。内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)付参事官補佐、防衛研究所政策研究部グローバル安全保障研究室長、理論研究部社会・経済研究室長、地域研究部中国研究室長、企画部企画調整課研究調整官を経て、2023年4月から現職。研究分野は、米国の国防政策、軍事戦略、作戦ドクトリン、政軍関係、国家安全保障政策決定過程など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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