出版社内容情報
「本書は、地衣類を通じて、時や空間を超えて異なる世界あるいは文化を繋げようとしている。扉の先には、地衣類が紡ぎ出す様々な世界が広がっている。さあ、異国への旅が始まる。」
(大村嘉人)
「この本が打ち出したのは、一種の生物学的コミュニズムだった。時に「レプラ性」「膿疱性」「結節性」の生物として描かれ、植物でも、動物でもなく、単一体ですらない地衣類は、アイデンティティの分配規則を見直すように強いてくる。」
(エマヌエーレ・コッチャ)
「ヴァンサン・ゾンカは、まさに共生的な親密さのポプリを編み上げた。欲望と絶望のかさこそする表現が、ゆっくりと、控えめに、空気を呼吸するように、どのページにも忍び寄る。これほど題材に忠実な文学作品があっただろうか。地衣類の世界へようこそ!」
(ティム・インゴルド)
「地衣類は科学者のみならず、「共生」──ないし「寄生」──について考えるためのさまざまなきっかけを思想家たちに提供してきた。本書はそうした過去の言説にも立脚しつつ、人新世の時代における共生の問題をあらためて俎上に載せた、詩情豊かなエッセイである。」
(星野太)
内容説明
世界の縁に身を置き、抵抗の姿勢を崩さない生物である地衣類。その環境詩学を東西の文学や思想と現代アートに見出しそこに共生の思考をさぐる挑発的な批評。
目次
第1部 ファーストコンタクト(はじまり;冬;憎まれ役;科学への挑発―地位の保全、横並びの脱却;慣習と迷信;地衣類のエロス)
第2部 記載し、命名し、表象する(具象化への挑発;Music=mushroom;極東、コケとワビ-サビ)
第3部 環境詩学―生の力と抵抗(荒地性;ルソーの散歩;センチネル種;「太陽の地衣と蒼穹の鼻汁」;「スバルバロの国」の土蛍;生態学的予兆;弱さ、抵抗;現代の「詩的倫理」;「弱者の蜂起」;微小生育地)
第4部 共生の思考に向けて(地衣類のポリティクス―共生の起源に戻って;キマイラ、吸血鬼、その他よくある怪物;「第三の場所」;共に住まう)
反歌 小さな胞子
著者等紹介
ゾンカ,ヴァンサン[ゾンカ,ヴァンサン] [Zonca,Vincent]
1987年ディジョン生まれ。作家、美術評論家。リヨン高等師範学校で比較文学の博士号を得る。現在、在カナダ・フランス大使館の文化担当官。2021年1月、エマヌエーレ・コッチャが序文を寄せた本書を出版。文化や知識(哲学、人類学、植物学、都市計画、文学、現代アートなど)を組み合わせることで、エコロジーと人新世の現状を考察している。とりわけ「無視された生物多様性」、共生、里山、野生種、都市の自然に関心を持っている
宮林寛[ミヤバヤシカン]
1957年生まれ。慶應義塾大学文学部教授を経て同大学名誉教授。専門は19世紀フランス詩とベルギー仏語文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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