出版社内容情報
後世の歴史家が語るところによれば、古代ギリシア・ローマ時代の人びとの暮らしはたいそう過酷なものであった。蛮族の侵略や帝国による重税、身の毛もよだつような疫病の蔓延に市井の人びとは疲れ果て、癒しと救いを求めていた。
ローマ帝国である新興宗教が広まると、何かが変わりはじめた。やがてその宗教が帝国の国教になると、熱狂的な信仰者たちは古代の神々の彫像や神殿を打ち壊しはじめた。「異教徒」の手による文学や哲学、さらには科学の本までが薪の上で燃やされ、その攻撃の対象が異教徒そのものになるまで、それほど時間はかからなかった。
キリスト教を信仰した最初の皇帝・コンスタンティヌス一世、徹底して信仰者に純潔を求めたアウグスティヌス、誰よりも厳格に神の法を執行したシェヌーテ。それぞれの方法で教義を貫く者たちが躍動し、歴史は<キリスト教の勝利>へと動いてゆく。
新興宗教にすぎなかったキリスト教は、いかにして古代世界の教義を消滅させ、「たった一つの真の信仰」が支持される時代を招いたのか? ローマからアレクサンドリア、シリア砂漠からアテナイへ――読む者を地中海じゅうに誘いながら、破壊と殺戮に彩られた「暗黒の世紀」を追う、衝撃の歴史ドキュメンタリー。
内容説明
“キリスト教の勝利”は、いかにして達成されたのか?勝利とは単に「勝つ」ことではなく、壊滅だった。破壊と殺戮に彩られた古代史を追う、衝撃の歴史ドキュメンタリー。
目次
はじまり
プロローグ―パルミラ、およそ紀元三八五年
そして、終わりへ
イントロダクション―アテナイ、紀元五三二年
第1章 目に見えない軍勢
第2章 悪魔の戦場
第3章 賢明さは愚かなことである
第4章 「少数の殉教者について」
第5章 狂わされた男たち
第6章 世界でもっとも壮大な建物
第7章 神殿を嫌悪すること
第8章 悪魔を退治する方法
第9章 無謀な人々
第10章 悪魔と杯を交わす
第11章 悪魔の過ちを浄化する
第12章 その日を摘み取れ
第13章 神の道を棄てる者
第14章 喜びの暴虐を消せ
第15章 慈悲深い残忍さ
第16章 暴君と危機の時代
著者等紹介
ニクシー,キャスリーン[ニクシー,キャスリーン] [Nixey,Catherine]
ケンブリッジ大学で西洋古典学を学ぶ。西洋古典学の講師として数年間働いた後、『タイムズ』紙のアート面のジャーナリストを経て、2021年より『エコノミスト』誌の英国特派員。『タイムズ』『フィナンシャル・タイムズ』『ニューヨーク・タイムズ』などにも寄稿している。本書で英国王立文学協会ジャーウッド賞を受賞した
松宮克昌[マツミヤカツヨシ]
翻訳家。上智大学文学部卒。日本翻訳家協会評議員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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