出版社内容情報
音楽がわかるとは、難解な暗号を覚えることとはちがう。それは、聴いて楽しむことを意味するにすぎない。……とはいえ専門知識があれば、自分の大好きなものを聴くとなぜ楽しいのかがわかる、という見返りがある。
(「まえがき」より)
18世紀から20世紀初頭まで、バッハからアルバン・ベルクにいたる作曲家たちはどのようにして、聴き手の感情を波立たせる美しい曲をつくったのだろうか。しかもその方法は時代とともに、とくにベートーヴェン以後はドラスティックに変化した。
心憎いほど音楽を知りつくした音楽理論家・ピアニストが、古典派以前からロマン派以後までの名曲--〈シャコンヌ〉から《ヴォツェック》まで--を例に、繊細な表現の構造と、計算しつくされたからくりを分析する。協和音と不協和音の緊張と解決の方法が変わると、表現はどう変わるか。ハ短調が注目に値する理由は何だったのか。
「驚きなのは、緻密な分析と専門的なアプローチをしながら、みごとに感動的なことだ」(『ガーディアン』紙評)
巻末には愉しい付録が付く。2010年にともに生誕200年を迎えたショパンとシューマン、それぞれを祝うエッセイ。
内容説明
バッハからベルクまで、作曲家はどのように聴き手の感情を波立たせる名曲を作ったのか。その奥義を語る。
目次
1 複合的なシグナルの意味を決めるということ
2 古典派以前
3 対立しあう情緒―古典派
4 ハ短調様式
5 ベートーヴェンの拡張
6 ロマン派―音の強さ
7 執拗さ―ロマン派以降
付録(ハッピーバースデー、ショパン!―二〇一〇年、生誕二百年を祝って;ハッピーバースデー、シューマン!―二〇一〇年、生誕二百年を祝って)
著者等紹介
ローゼン,チャールズ[ローゼン,チャールズ] [Rosen,Charles]
1927年ニューヨークに生まれる。コンサート・ピアニスト、音楽批評家・理論家。4歳でピアノを始め、11歳でジュリアードを中退、モーリツ・ローゼンタールに師事する。1951年プリンストン大学で博士号取得(フランス文学)。これまでにニューヨーク州立大学、オクスフォード大学、ハーバード大学、シカゴ大学などで教鞭をとる(フランス文学ほか)。著書にThe Classical Style:Haydn,Mozart,Beethoven(1971,1997.全米図書賞受賞)ほか
朝倉和子[アサクラカズコ]
ピアニスト、翻訳家(SWET会員)。訳書にブラッドレー・マーティン『北朝鮮:「偉大な愛」の幻』(全2巻、青灯社、2007.毎日新聞アジア太平洋賞特別賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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