ナチス 破壊の経済〈上〉―1923‐1945

電子版価格
¥5,280
  • 電書あり

ナチス 破壊の経済〈上〉―1923‐1945

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 46判/ページ数 499p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622088127
  • NDC分類 234.074
  • Cコード C0022

出版社内容情報

ナチスの経済政策が、いかに付け焼き刃に過ぎなかったかを、圧倒的データと史料で描ききり、通俗的理解を覆す決定版、ついに邦訳。

「本書の第一目的は、経済をヒトラー体制理解の中心に据え直すことだ…20世紀経済史の決定的な特徴として突出しているのは、ドイツ、あるいは他のヨーロッパ国の特異な優位性ではなく、一連の新経済大国、なかでもアメリカによる「旧大陸」の失墜だ…アメリカは私たちの第三帝国に対する理解の中心軸となる…東部で最後の一大領土掌握を行うことで、ドイツは、国内の豊かさと、来るべきアメリカとの超大国競争に勝つために必要な基盤の両方のための、自給自足基盤を作り上げようとしたのだった…だがヒトラーといえど、根底にある経済力や軍事力の均衡を変えられはしなかった。要するにドイツ経済は、アメリカはおろか、イギリスとソヴィエト連邦両国を含むヨーロッパの隣国すべてを圧倒できる軍事力を作り出せるほど強くはなかったのだ…ヒトラーの内心では、アメリカが第三帝国に与える脅威は、よくある単なる超大国間の対立ではなかった。ヒトラーのユダヤの世界的陰謀に対する不変の恐怖と絡み合っていたのだ」(序文より)

上巻では、シュトレーゼマン政権(1923)から、ヒトラーの政権掌握、再軍備と戦争準備、そしてポーランド占領後(1940)までを扱う。

雇用創出、アウトバーン建設といったナチ経済政策につきまとう神話の実像を暴きつつ、戦争遂行に向けた、外貨確保を中心とした金融経済政策、および兵器、食糧、労働力、資源の動員体制の確立を、あますところなく詳述する。

内容説明

上巻では、シュトレーゼマン政権(1923)から、ヒトラーの政権掌握、再軍備と戦争準備、そしてポーランド占領後(1940)までを扱う。雇用創出、アウトバーン建設といったナチ経済政策につきまとう神話の実像を暴きつつ、戦争遂行に向けた、外貨確保を中心とした金融経済政策、および兵器、食糧、労働力、資源の動員体制の確立を、あますところなく詳述する。

目次

第1部 回復(「すべての労働者に仕事を」;決別;パートナーたち―政権とドイツ企業;安上がりの民族共同体;農民救済)
第2部 ヨーロッパの戦争(1936年―開戦まで4年;危険な領域へ;1939年―待てど得るものなし;一か八か―戦争最初の冬)

著者等紹介

トゥーズ,アダム[トゥーズ,アダム] [Tooze,Adam]
コロンビア大学歴史学教授。ロンドン生まれ。イングランドとドイツのハイデルベルクで育つ。1989年夏にケンブリッジ大学キングス・カレッジで経済学の学士号取得。ベルリンで冷戦の崩壊を目撃し、同地の大学院で研究を始める。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで博士号取得。1996‐2009年にはケンブリッジ大学で教鞭をとる(現代史准教授。およびジーザス・カレッジのガーニー・ハート・フェロー)。その後、イェール大学のバートン・M・ビッグス教授。同大学ではポール・ケネディの後任として国際安全保障研究所所長も務める。2015年から現職。著書「The Wages of Destruction」はウォルフソン・ヒストリー・プライズを受賞している

山形浩生[ヤマガタヒロオ]
1964年東京生まれ。東京大学都市工学科修士課程およびMIT不動産センター修士課程修了。途上国援助業務のかたわら、翻訳および各種の雑文書きに手を染める

森本正史[モリモトマサフミ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ばたやん@かみがた

77
衝撃の連続。だって政権初期においてアウトバーン等の公共事業による雇用創出やフォルクスワーゲン生産に代表される国民生活への配慮が、ナチスとヒトラーの人気を高め来る戦争への道を準備したとするのが「通説」でしたから。著者はそれらがプロパガンダに過ぎなかったことをデータと事実で指し示します。民間雇用創出に予算が振り向けられたのは最初の'33だけ、フォルクスワーゲンの注文のうちほとんどは新車が手元に届くことは叶えられなかった、ということです。ヒトラーは最初から再軍備最優先でその他は犠牲にする積もりでした。(1/4)2020/02/16

15
経済運営に関してはナチスはうまいことやったんじゃないの日帝より経済面ではずいぶんとマシだよねという思い込みを完全に覆してくれる本。フォルクスワーゲンが飴として庶民も持てたと信じてたんだけど、解約不可死んだら没収な強制ローン組まされて、第三帝国時代には結局34万人の契約者には一台も届かなかったとか、アウトバーンは雇用創出にも失業軽減にも貢献しなかったというのには正直驚いた。成功とされるものは成功ではなく、奇跡とされるものは以前の政策が少し遅れて奏功しただけ。「第三帝国ネタはいろいろ盛りすぎです」2021/07/07

MUNEKAZ

15
ときに「成功した」と言われることも多いナチスの経済政策を実証的に検証した大作。アウトバーン建設などによる雇用の創出や景気の拡大は限定的とし、あくまで「再軍備」に向け経済統制と収奪によりヒト・モノ・カネを集中したとする。そのため軍需産業から外れた分野、例えば繊維産業などが犠牲になったというのは興味深い。またこれに協力した(そして裏切られた)ヒャルマル・シャハトら銀行家や実業家・企業家たちの存在も印象的。1918年のトラウマが、彼らをナチスに協力させたのだろうか。2019/08/18

ジュン

11
ナチは工業や農業などの経済、領土の維持と国民の保護、あらゆる福祉システム、はては戦争を遂行するための「ドイツ人」の確保にすら失敗した。明らかな崩壊国家だったことがわかる。ナチを研究しても、良かったところなど何も発見できない。2021/09/30

ジュン

9
ナチスについては政治史や軍事史は多く読んできましたが、経済史は未読でした。上巻では経済復興やアウトバーン神話などを資料から徹底的に批判し、その場当たり的な性格を明らかにしています。結果的に12年しかもたなかった第3帝国を経済から読み解きます。2021/06/17

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/14030206
  • ご注意事項