罪と罰の彼岸―打ち負かされた者の克服の試み (新版)

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  • サイズ B6判/ページ数 212p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622085195
  • NDC分類 944
  • Cコード C1010

出版社内容情報

ナチスによる幾度もの拘束と収容、逃亡を繰り返して生き延びた思想家が述懐する、個の尊厳を奪い尽くす人道への大罪。訳者新解説付。ジャン・アメリーは1912年ユダヤ人の両親のもとウィーンで生まれた。1940年敵性外国人として逮捕され南仏の収容所へ。脱走、フランス縦断を経てブリュッセルでレジスタンスに参加。1943年再逮捕。拷問と独房、アウシュヴィッツ、ブーヘンヴァルト、ベルゲン=ベルゼン強制収容所を生き延びた人物である。解放後は文筆で身を立てながら長くホロコーストに触れることはなかったが、再び台頭する排外主義への危機感から本書を著した。「社会」が人間の尊厳を奪うとはどのようなことか。人は何によって人間であるのか。自らの体験を遡り、手探りするように綴られた省察の記録。

「なにはともあれ自分は一つの仕事をやりとげたように思うのだが、ともに人間でありたい人すべてのところに届いてくれることを願わないではいられない」(1966年)

ジャン・アメリー[ジャン アメリー]
1912年ウィーンに生まれ、文学・哲学を学ぶ。1938年ナチズムをのがれてベルギーに亡命。レジスタンスに参加。1943年ゲシュタポに逮捕され、アウシュヴィッツ、ブーヘンヴァルト、ベルゲン=ベルゼン強制収容所に送られる。1945年の解放後ブリュッセルに住み、作家・批評家として活発に活動した。ロマン・エッセイという独特のスタイルにより機知と明晰をもって書き、〈現代ヨーロッパにおける最も興味深い思索者の一人〉と見なされていた。1978年ザルツブルグで自死。著書『さまざまな場所』『ルフュー、あるいは取り壊し』『老いについて』『自らに手を下し』『罪と罰の彼岸』他。

池内 紀[イケウチオサム]
1940年、兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者、エッセイスト。1966-96年、神戸大、都立大、東大でドイツ語、ドイツ文学の教師。その後は文筆業。主な著書に『ゲーテさんこんばんは』(桑原武夫学芸賞)、『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)、『二列目の人生』、『見知らぬオトカム――辻まことの肖像』、『恩地孝四郎』(読売文学賞)、『亡き人へのレクイエム』など。編注に森?外『椋鳥通信(上・中・下)』、訳書に『ファウスト』(毎日出版文化賞)、ケストナー『飛ぶ教室』、アメリー『罪と罰の彼岸』など。山や旅、自然にまつわる本も、『森の紳士録』、『ニッポンの山里』など多数。

内容説明

収容所を脱走し、反ナチス運動へ。再逮捕と拷問、強制収容所を生き延びた人が「ともに人間でありたい人すべて」に送る半世紀読み継がれた名著。

目次

精神の限界
拷問
人はいくつ故里を必要とするのか
ルサンチマン
ユダヤ人であることの強制、ならびにその不可能性について

著者等紹介

アメリー,ジャン[アメリー,ジャン] [Am´ery,Jean]
1912年ウィーンに生まれ、文学・哲学を学ぶ。1938年ナチズムをのがれてベルギーに亡命。レジスタンスに参加、1943年逮捕され、アウシュヴィッツ、ブーヘンヴァルト、ベルゲン=ベルゼン強制収容所に送られる。1945年の解放後ブリュッセルに住み作家・批評家として活発に活動した。ロマン・エッセイという独特のスタイルにより機知と明晰をもって書き、“現代ヨーロッパにおける最も興味深い思索者の一人”と見なされていた。1978年ザルツブルグで自死

池内紀[イケウチオサム]
1940年兵庫県姫路市生まれ、ドイツ文学者、エッセイスト。主な著書に『ゲーテさんこんばんは』(桑原武夫学芸賞)、『恩地孝四郎』(読売文学賞)など。訳書に『ファウスト』(毎日出版文化賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

26
アウシュビッツに収容されていた作家がナチズムとは何かを省察しようとした論文。被害者である彼は何を語るにも自分の経験に舞い戻ってきて、それを客観的に述べる事ができない。拷問の時に感じた恐ろしい孤独感や拷問後は2度と元の自分には戻れないという実感。恐怖が支配する強制収容所で「知識」あるいは「知識人という誇り」は消え去ってしまう事。困難の中ユダヤ人をこっそり助けてくれたいいドイツ人が居ようともナチズムを育てたドイツの罪は国民全員が負うべきものである事。などの考察。思っていた作品ではなったが最後までじっくり読めた2017/10/13

ヘラジカ

17
これまでに読んできたホロコーストの書とは照らされる面が微妙に違う印象を受けた。池内氏の言葉を借りるなら「考える位相というものがまったく別のもの」だからだろう。エッセイ形式であり一遍一遍が短いためもあって読解という意味では大変読みやすいが、語られるものについては決して同じことが言えるわけではない。この本が今なお新版として世に出される必要性を認めたみすず書房には敬意を表したいと思う。他国の過去のなかに、未来の糧になるものを見つけるのは容易い。ならばそれをしないのは怠慢だろう。2016/10/19

Meg Mog

4
「異端の鳥」と間違えて途中から半分寝ながら漸く読了。ユダヤ人と言うことをひたすら問うてる印象🙄アジア人や黒人も酷い差別を受けたりするけど、作者はアウシュビッツの当事者と言うものすごい経験をしてるから気持ちも分かる…けどやっぱり自分には複雑過ぎて睡魔に勝てん😅最後の系譜で作者が自死したってとこが1番ショックだった😔2021/06/28

はすのこ

4
夜と霧もそうだが、アウシュビッツものは生々しさが美しい。2017/02/04

ひろみ

4
「なにはともあれ自分は一つの仕事をやりとげたように思うのだが、ともに人間でありたい人すべてのところに届いてくれることを願わないではいられない」これしかないです。引用するのも感想を述べるのも憚られる。2016/10/21

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