現代社会の神話―1957

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  • サイズ A5判/ページ数 409p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784622081135
  • NDC分類 958
  • Cコード C1310

出版社内容情報

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『零度のエクリチュール』で颯爽と登場したバルトは、モーリス・ナドーが創刊した月刊誌『レットル・ヌーヴェル』の常連執筆者となった。1954年11月から1956年5月まで、一回に数編のエッセイを「今月の小さな神話」と題して連載した。「[日常生活のなかで]あたりまえのことが飾りたてられて示されているときの、そこに隠されていると思われるイデオロギーの濫用」を明らかにすること。この社会的な「神話」は衣食住から文化一般、裁判、植民地、スポーツにいたるまで、プチブル大衆社会にひそむ意味作用である。取捨選択、加筆して一本にまとめるにあたり、バルトは当時夢中になっていたソシュールに学んで記号学的アプローチで神話の全体を論じる(本書第二部)。これまで『神話作用』という題で抄訳しかなかった、初期バルトの主著。初めてその全貌が伝えられる。


ロラン・バルト(Roland Barthes)
1915年生まれ。フランスの批評家・思想家。1953年に『零度のエクリチュール』を出版して以来、現代思想にかぎりない影響を与えつづけた。1975年に彼自身が分類した位相によれば、(1)サルトル、マルクス、ブレヒトの読解をつうじて生まれた演劇論、『現代社会の神話(ミトロジー)』(2)ソシュールの読解をつうじて生まれた『記号学の原理』『モードの体系』(3)ソレルス、クリテヴァ、デリダ、ラカンの読解をつうじて生まれた『S/Z』『サド、フーリエ、ロヨラ』『記号の国』(4)ニーチェの読解をつうじて生まれた『テクストの快楽』『彼自身によるロラン・バルト』などの著作がある。そして『恋愛のディスクール・断章』『明るい部屋』を出版したが、その直後、1980年2月25日に交通事故に遭い、3月26日に亡くなった。バルトの単行本はすべて、みすず書房から刊行される。

下澤和義(しもざわ・かずよし)
1960年生まれ。1987年京都大学文学部卒業。1994年東京都立大学人文科学研究科博士課程を単位取得退学。パリIII大学博士準備課程修了。フランス現代文学・思想専攻。現在、専修大学商学部助教授。著書『芸術のイノヴェーション モード、アイロニー、パロディ』(共著、中央大学出版部)ほか。訳書 バルト『小さな神話』『小さな歴史』(以上、青土社)グロード/ルエット『エッセイとは何か』(法政大学出版局)ブータン『ルイ・アルチュセール 思想の形成』(共訳、筑摩書房)ブリュックネール『無垢の誘惑』(共訳、法政大学出版局)ほか。

石川美子(いしかわ・よしこ)
1980年、京都大学文学部卒業。東京大学人文科学研究科博士課程を経て、1992年、パリ第VII大学で博士号取得。フランス文学専攻。現在、明治学院大学教授。著書『自伝の時間――ひとはなぜ自伝を書くのか』(中央公論社)『旅のエクリチュール』(白水社)ほか。訳書 モディアノ『サーカスが通る』(集英社)フェーヴル『ミシュレとルネサンス』(藤原書店)『記号の国』(ロラン・バルト著作集7、みすず書房)『新たな生のほうへ』(ロラン・バルト著作集10、みすず書房)ほか。

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関連書:
バルト『テクストの快楽』
バルト『彼自身によるロラン・バルト』
ロラン・バルト著作集1『文学のユートピア』
ロラン・バルト著作集7『記号の国』
ロラン・バルト著作集10『新たな生のほうへ』

内容説明

日常生活に隠されているブルジョワ・イデオロギーの濫用、自然らしさを押しつけてくる大衆文化の言葉づかいを批判して、「神話」をあばきだすこと。記号学的批評が生まれた主著の全訳決定版。

目次

1 神話集(プロレスする世界;アルクールの俳優;映画のなかのローマ人;休暇中の作家;貴族のクルージング;声にして盲目の批評;石鹸と洗剤;貧しき者とプロレタリア ほか)
2 今日における神話

著者等紹介

バルト,ロラン[バルト,ロラン][Barthes,Roland]
1915‐1980。フランスの批評家・思想家。1953年に『零度のエクリチュール』を出版して以来、現代思想にかぎりない影響を与えつづけた。1975年に彼自身が分類した位相によれば、(1)サルトル、マルクス、ブレヒトの読解をつうじて生まれた演劇論、『現代社会の神話』(2)ソシュールの読解をつうじて生まれた『記号学の原理』『モードの体系』(3)ソレルス、クリステヴァ、デリダ、ラカンの読解をつうじて生まれた『S/Z』『サド,フーリエ,ロヨラ』『記号の国』(4)ニーチェの読解をつうじて生まれた『テクストの快楽』『彼自身によるロラン・バルト』などの著作がある。そして『恋愛のディスクール・断章』『明るい部屋』を出版したが、その直後、1980年2月25日に交通事故に遭い、3月26日に亡くなった

下沢和義[シモザワカズヨシ]
1960年生まれ。1987年、京都大学文学部卒業。1994年、東京都立大学人文科学研究科博士課程を単位取得退学。パリ第3大学博士準備課程修了。フランス現代文学・思想専攻。専修大学商学部助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いとう・しんご singoito2

8
「観光のまなざし」に言及があり読み始めたら、40年ほど前「モードの体系」で挫折し、以来、ずっと先送りしていたことを思い出しました。冒頭の300ページの短いエッセイの連続はちょっと散漫で退屈。だけど、最後の100ページの論文をとても分りやすい書き方だし、それ以上にバルトの熱が伝わってくる。これを理解するために、あの300ページの助走路が必要だったのだと実感しました。バルトの他の本も読んでみたいと思います。2022/02/17

とーとろじい

2
文章がなぜか掴みづらくて疲れるが、面白い(イデオロギー)批評だ。休暇中の作家、聾にして〜、貧しき者と〜、火星人、アストラ作戦、ドミニシ〜、黒ん坊〜、ストライキの利用者、ノーチラス号〜、ラシーヌ〜、ショッキングな写真、アフリカ文法、ないない批評、ブルジョワの声楽芸術等々、その中に光る視点がある。また、理論である今日における神話では、第二体系の完成した神話を、その上から第三体系の神話で掬い上げ回収する小説という構想が地味ながら興味深い。全てが神話になりうるからこそ、神話を批判する小説があってもいいだろう。2018/04/17

茶々福

2
かつて、篠沢秀夫氏が『神話作用』のタイトルで訳したものを読んだ。再読と言うべきか。 1950年代フランスの、主に新聞や雑誌で扱われた様々な事柄に、人々が纏わせる「神話」を分析する。取り上げられるのは、プロレスに始まり、犯罪、新型車、天才少女、ワイン、アインシュタインの脳、等々。 その「神話」は、幻想とも呼べるだろうし、ときには欺瞞とも呼べそうだ。2016/07/18

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