出版社内容情報
「立原道造の〈寝そべる建築〉は、まさに日本の建築史がほとんど正反対の方向へと進みだそうという時期に一瞬姿を見せた、建築のもう一方の方向性にほかならなかった。ふたつの方向のうちのひとつはもちろん〈丹下的〉なるものであり、そしてもうひとつが〈立原的〉なるもの、すなわち〈寝そべる建築〉だったとはいえないか。そしていうまでもなく建築の歴史は、ほとんど例外なく前者の方向で突き進んでいったのだ」
「もしも〈寝そべる建築〉という範疇がこの地上に実現できるのならば、そこではこれまでの評価基準はことごとく破綻することになるだろう」
詩人にして建築家・立原道造が切り開いた地平を示す表題作、「ル・コルビュジエのメディア戦略」「〈近代建築〉のアイデンティティは非ヨーロッパ的背景に開かれているか」「ルドゥーの夜とアジェの朝」「建築論として読むベンヤミン」「〈物質的記憶〉に向かって」「〈ディテール・モデル〉に関するいくつかの考察」「DUB建築序説」「〈建屋〉と瓦礫と」ほか、「建築零年」以後への応答。図版多数収録。
寝そべる建築 立原道造論
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ル・コルビュジエのメディア戦略
「近代建築」のアイデンティティは非ヨーロッパ的背景に開かれているか
カリフォルニアでウィーンと日本が出会うこと キングズ・ロードのシンドラー自邸
ミースの建築を写真に撮ること ブルノのトゥーゲントハット邸
物質写真序説 ローマン・ヴィシュニアックの「或る消滅せる世界」
世界モデルと気象学 パウル・クレーの絵画
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ルドゥーの夜とアッジェの朝
モードの空隙 エクトール・ギマールの「地下鉄」
シカゴの夢 ルイス・サリヴァンの「百貨店」
ウィーンの氷 オットー・ワグナーの「郵便貯金局」
神話の結晶 C・R・マッキントッシュの「芸術学校」
技術の蜂起前夜 アドルフ・ロースの「ミヒャエル広場スキャンダル」
建築のなかの戦争 ドイツ工作連盟と「スタンダード」
未来派の植物建築 アントニオ・サンテリアの「新都市」
近代建築のデッドエンド ジュゼッペ・テラーニの「カサ・デル・ファッショ」
建築論として読むベンヤミン
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「表面」の上に展開する建築たちのかたわらで
「小さきもの」に与えられた可能性を追いかけて 物質試行41「原宿のギャラリー」
「物質的記憶」に向かって 物質試行42「池田山の住宅」
ところで階段とはなにか 物質試行45「神宮前の住宅」
「ディテール・モデル」に関するいくつかの考察 「空洞三部作」
山の考古学 物質試行47「金刀比羅宮プロジェクト」
DUBHOUSE 物質試行51
DUB建築序説
「建屋」と瓦礫と 「テクノニヒリズム」以後
あとがき
初出一覧
内容説明
詩人にして建築家・立原道造が切り開いた地平を示す表題作、「ル・コルビュジエのメディア戦略」「建築論として読むベンヤミン」「DUB建築序説」「“建屋”と瓦礫と」ほか、「零年以後」への応答。
目次
寝そべる建築―立原道造論(ル・コルビュジエのメディア戦略;「近代建築」のアイデンティティは非ヨーロッパ的背景に開かれているか;カリフォルニアでウィーンと日本が出会うこと―キングス・ロードのシンドラー自邸 ほか)
2(ルドゥーの夜とアジェの朝;モードの空隙―エクトール・ギマールの「地下鉄」;シカゴの夢―ルイス・サリヴァンの「百貨店」 ほか)
3(「表面」の上に展開する建築たちのかたわらで;「小さきもの」に与えられた可能性を追いかけて―物質試行41「原宿のギャラリー」;「物質的記憶」に向かって―物質試行42「池田山の住宅」 ほか)
著者等紹介
鈴木了二[スズキリョウジ]
1944年生まれ。建築家、早稲田大学教授。68年、早稲田大学理工学部建築学科卒業後、竹中工務店設計部勤務。槇総合計画事務所出向を経て73年退社。70年、fromnow建築計画事務所設立。77年、早稲田大学大学院修士課程修了。82年、fromnow建築計画事務所を鈴木了二建築計画事務所に改称。作品「物質試行37 佐木島プロジェクト」(1995/日本建築学会賞)「物質試行47 金刀比羅宮プロジェクト」(2004/村野藤吾賞、日本藝術院賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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