出版社内容情報
その誕生から、歴史ブーム、小説との関係、歴史家の本領などを説く。すぐれた歴史家によるみごとな学問論。
内容説明
歴史は科学的というより文学的だ。最良の歴史は必ずや個人的で参加型になる。アメリカの優れた現代史家が後生に言い残す、快活にして真摯な、学問のすすめ。
目次
第1章 歴史家であること
第2章 歴史家にとっての問題
第3章 歴史ブーム
第4章 文学としての歴史の再認識
第5章 歴史と小説
第6章 歴史家の将来
第7章 伝統、遺産、想像力
著者等紹介
ルカーチ,ジョン[ルカーチ,ジョン] [Lukacs,John]
1924年、ブダペスト生まれ。母がユダヤ人であったため、第二次世界大戦中、収容所で強制労働を課せられたが、絶滅収容所送りは免れた。1946年、共産化したハンガリーからアメリカ合衆国に逃れる。1947年から1994年までチェスナットヒル・カレッジ(フィラデルフィア)の歴史学教授。ジョンズ・ホプキンス大学、コロンビア大学、プリンストン大学などの客員教授もつとめた
村井章子[ムライアキコ]
翻訳者。上智大学文学部卒業
近藤和彦[コンドウカズヒコ]
1947年生まれ。東京大学名誉教授。立正大学教授。Fellow of the Royal Historical Society。専門はイギリス近代の社会史、文化史、政治史。日英歴史家会議委員長、史学会理事長をつとめた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
16
2011年初出。 ヒストリアとうギリシア語は調べるを意味していた(6頁)。 his storyという男の歴史。her storyもある筈だが。 18Cに歴史は文学。19Cには学問に。20Cには社会科学化(10頁)。 社会史は社会に存在する階級や集団を研究する歴史分野(21頁)。 社会史の目的は叙述であり、定義ではない(50頁)。 民衆史は国家や統治の歴史よりも複雑(37頁)。 数量歴史学では統計学を援用する。 だが、著者は量よりも質が問題だと指摘される(47頁)。2014/03/20
内島菫
5
歴史学と文学の親近性が前向きに書かれており、かえって新鮮味を覚えた。確かに文学は歴史の重要な一要素である。文学ほど叙述的ではないが、音楽にしろ映画にしろ扱っているものの歴史性という内在的な要因だけでなく、それが作られた時代の雰囲気を伝えているという外在的な要因を持つ作品を私が好むのは、やはり歴史的な観点からだ。2014/01/31
Go Extreme
2
歴史は文学: 歴史家・単なる記録者ではなく物語を語る存在 言葉や表現の選び方・歴史の理解において重要 認識の相対性: 歴史的な発言や行動・時代や状況により解釈が異なる→文脈を考慮 歴史には客観性と主観性が共存 記憶と歴史: 記憶は常に変化→現在の理解に影響 歴史ー過去の出来事を再構築する作業・文学的な表現がその過程で重要 歴史的証拠の重要性: 事実+意味や背景に注目 事実ー表現や文脈によって解釈異なる 文学の役割: 歴史的な理解を深める 小説や詩ー歴史的事実を生き生きとした形で伝える→歴史家は活用すべき2025/01/15
活火山
2
近藤和彦の解説が簡にして要を得ている。本書の問題点も的確に説明。歴史家による歴史学という営為に対する問いも含まれているが、緻密に考察が重ねられているというよりは、歳を重ねた研究者が言いたい放題口にしているという印象あり。しかし古典的文学作品と歴史を重ねているところなどはある意味ですごい自信。作者の歴史書もせっかくなので、時間があったら一冊つらい手に取ってみたい。2014/10/01
Go Extreme
1
歴史学 文学→科学、そして社会科学 ドイツ流の歴史学と博士号の伝播 専門家からより広い知識へ 歴史の定義 記述することと記述された事柄 出版される歴史書の数の増加と質の低下 プロ歴史家の重大な責務 偽造や改竄との戦い 情報爆発時代・歴史に関する無知 デジタル化・資料の信頼性と完全性 学際的なアプローチの必要性と限界 歴史学の専門分野拡大と深化/浅化 反事実的仮説の歴史学への批判と価値 歴史への大衆的関心の変化と現状 アメリカの進歩主義と歴史の否定 歴史家の将来 学術出版の危機 文明の守護者・歴史家の役割2025/05/14
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