出版社内容情報
イタリア精神医療改革の父と呼ばれ、精神病院の廃絶の中心的人物となった精神科医、フランコ・バザーリア(1924-1980)。妻フランカ・オンガロによって選ばれた18篇の論考は、バザーリアがいかに実存主義精神医学の視点から精神病院の廃絶=脱施設化の思想へと至ったかを詳らかにする。精神病院という名の収容所を棄て、地域社会で病める人を支えていくとはどういうことなのか――今日の課題にも通ずる、精神医療改革の生々しい現場を物語る重要書。
内容説明
収容主義の精神医療は、患者と治療者、そして患者と社会の関係に何をもたらすのか?イタリアにおける精神病院廃絶の中心人物となった精神科医フランコ・バザーリアの思想の全容、その肉声。
目次
不安と自己欺瞞―神経症者の人間状況
施設化空間としての精神病院解体―「閉鎖空間」の屈辱と自由、「オープンドア」システムの検討
身体、まなざし、そして沈黙―精神医学における主観性の謎
施設精神医学の問題―社会‐精神医学的カテゴリーとしての排除
神経症者の表現としての身体イデオロギー―神経衰弱型神経症
身体と施設―施設精神医学の課題に関する人類学的、精神病理学的考察
施設の危機か?精神医学の危機か?
『精神医学とは何か?』序文
最終解決
暴力の施設
事件/事故の問題
施設管理と運営の問題
写真集『ありえない死に方』序文
ニューヨークからの報告―人工患者
逸脱したマジョリティ
平和時の犯罪
混乱した行為―社会的諸関係におけるその機能
『桑園』序文
著者等紹介
バザーリア,フランコ[バザーリア,フランコ] [Basaglia,Franco]
1924‐1980。1924年、ヴェネツィアに生まれる。1948年、バドヴァ大学卒業。ゴリツィア県立精神病院、パルマ県立コロルノ精神病院、トリエステ県立精神病院の院長を歴任した。公立精神病院の廃止を定めた1978年のイタリア精神保健法改正(「バザーリア法」とも呼ばれる)の立役者となった、20世紀におけるイタリア精神医学を代表する人物である
バザーリア,フランカ・オンガロ[バザーリア,フランカオンガロ] [Basaglia,Franca Ongaro]
1928‐2005。1928年、ヴェネツィアに生まれる。フランコ・バザーリアの妻。哲学、社会学に関連する書籍の執筆・翻訳のかたわら、フランコ・バザーリアの精神医療改革を支えつづけ、フランコ・バザーリアの論文の多くの共同執筆者となった。1984年から1991年にかけて、2期にわたって独立左派党の国会上院議員を務めた
梶原徹[カジワラトオル]
1948年、東京都墨田区に生まれる。1974年、東京大学医学部医学科卒業。東京大学附属病院精神科病棟(赤レンガ病棟)、長野県立阿南病院精神科医監、南埼玉病院副院長、陽和病院副院長、老人保健施設長などを経て、2007年1月より浜田クリニック院長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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