出版社内容情報
どのように生命は出現したのか。物理・化学的原理で説明可能になる見通しを示す。主要な賞をダブル受賞、フランス科学哲学の最前線。
生命とは何か、生物は無生物とどこが違うのかを考えるとき、特別な生命の力を仮定する生気論を除いても、二通りの考え方がある。生命現象はすべて物理・化学的原理によって説明できるというのが還元論、そうではないと考えるのが創発論である。
著者は創発のさまざまな概念を検討した上で「実用主義的な創発」概念を提唱し、生命の起源が創発的であるかどうかを、二つの文脈において検討した。すなわち、「歴史的文脈」では生命出現の道のりは厳密にたどれず、「創発」か否かは答えられないが、「物理・化学的文脈」においては、現在の知識では生命出現は創発的である。
しかし、生命出現に至る一連の過程を分割し、生体物質が合成される第一段階、機能物質が化学進化する第二段階、初期生命が出現する第三段階に分けると、各段階とも、未来永劫説明不可能ということはなく、生命の起源は創発と見なさなくてもよいという結論に至る。
本書の元をなす博士論文は学士院奨学金賞とパリ大学総局賞文系部門をダブル受賞した。フランス科学哲学の最前線。
内容説明
生命はどのように地球上に出現したのか。いつか物理・化学的原理で説明可能になるのか。人類最大の謎に答える道筋を、科学と哲学の最先端の研究から提示する。学士院奨学金賞とパリ大学総局賞文系部門をダブル受賞した俊英による、フランス科学哲学の最前線。
目次
第1章 生命とさまざまな生命起源論
第2章 生命のさまざまな起源論―歴史的にみた問題点
第3章 生命のさまざまな起源論―物理・化学的にみた問題点
第4章 創発概念の発展の核心をなす生命
第5章 さまざまな形をとる創発
第6章 創発と説明
第7章 実用主義的な創発
第8章 われわれの知識の現状に即して考える生命の創発性
第9章 生命は将来もずっと創発的であるのか―前生物的な化学的過程と化学進化の検討
第10章 生命は将来もずっと創発的であるのか―前生物的な自己組織化の検討
著者等紹介
マラテール,クリストフ[マラテール,クリストフ][Malaterre,Christophe]
エコール・サントラル・パリ(ECP)とマサチューセッツ工科大学で修士号取得。科学技術史・哲学研究所(IHPST、パリ第一大学)の研究員をへて、2012年秋よりモントリオールのケベック大学哲学科教授。パリ第一大学に提出した哲学博士論文で2009年度パリ大学総局ルイ・フォレ賞文系部門、ポスト・ドクターとしての研究でフランス学士院ルイ・D奨学金賞を受賞
佐藤直樹[サトウナオキ]
1953年、岐阜市生まれ。東京大学理学部生物化学科卒業、同大学院理学系研究科博士課程生物化学専門課程単位修得退学、同年、理学博士。東京学芸大学教育学部助教授、埼玉大学理学部教授をへて、2004年より東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系教授。専門は植物ゲノム・生命科学・生物情報解析など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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