生命起源論の科学哲学―創発か、還元的説明か

生命起源論の科学哲学―創発か、還元的説明か

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  • サイズ B6判/ページ数 356,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622077428
  • NDC分類 461.6
  • Cコード C1010

出版社内容情報

どのように生命は出現したのか。物理・化学的原理で説明可能になる見通しを示す。主要な賞をダブル受賞、フランス科学哲学の最前線。

生命とは何か、生物は無生物とどこが違うのかを考えるとき、特別な生命の力を仮定する生気論を除いても、二通りの考え方がある。生命現象はすべて物理・化学的原理によって説明できるというのが還元論、そうではないと考えるのが創発論である。
著者は創発のさまざまな概念を検討した上で「実用主義的な創発」概念を提唱し、生命の起源が創発的であるかどうかを、二つの文脈において検討した。すなわち、「歴史的文脈」では生命出現の道のりは厳密にたどれず、「創発」か否かは答えられないが、「物理・化学的文脈」においては、現在の知識では生命出現は創発的である。
しかし、生命出現に至る一連の過程を分割し、生体物質が合成される第一段階、機能物質が化学進化する第二段階、初期生命が出現する第三段階に分けると、各段階とも、未来永劫説明不可能ということはなく、生命の起源は創発と見なさなくてもよいという結論に至る。
本書の元をなす博士論文は学士院奨学金賞とパリ大学総局賞文系部門をダブル受賞した。フランス科学哲学の最前線。

内容説明

生命はどのように地球上に出現したのか。いつか物理・化学的原理で説明可能になるのか。人類最大の謎に答える道筋を、科学と哲学の最先端の研究から提示する。学士院奨学金賞とパリ大学総局賞文系部門をダブル受賞した俊英による、フランス科学哲学の最前線。

目次

第1章 生命とさまざまな生命起源論
第2章 生命のさまざまな起源論―歴史的にみた問題点
第3章 生命のさまざまな起源論―物理・化学的にみた問題点
第4章 創発概念の発展の核心をなす生命
第5章 さまざまな形をとる創発
第6章 創発と説明
第7章 実用主義的な創発
第8章 われわれの知識の現状に即して考える生命の創発性
第9章 生命は将来もずっと創発的であるのか―前生物的な化学的過程と化学進化の検討
第10章 生命は将来もずっと創発的であるのか―前生物的な自己組織化の検討

著者等紹介

マラテール,クリストフ[マラテール,クリストフ][Malaterre,Christophe]
エコール・サントラル・パリ(ECP)とマサチューセッツ工科大学で修士号取得。科学技術史・哲学研究所(IHPST、パリ第一大学)の研究員をへて、2012年秋よりモントリオールのケベック大学哲学科教授。パリ第一大学に提出した哲学博士論文で2009年度パリ大学総局ルイ・フォレ賞文系部門、ポスト・ドクターとしての研究でフランス学士院ルイ・D奨学金賞を受賞

佐藤直樹[サトウナオキ]
1953年、岐阜市生まれ。東京大学理学部生物化学科卒業、同大学院理学系研究科博士課程生物化学専門課程単位修得退学、同年、理学博士。東京学芸大学教育学部助教授、埼玉大学理学部教授をへて、2004年より東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系教授。専門は植物ゲノム・生命科学・生物情報解析など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

34

19
自然科学のなかで創発的と呼ばれる現象を探していくと、哲学者にとっては興味ぶかいテーマが見つかることになる。ベルクソンはまさに自然の創発的側面に形而上学的な基礎を与えようとした哲学者だし、あるいはプリゴジンのように、創発的現象に新しい自然科学のパラダイムを与えようとした高名な科学者もいる。彼らに較べると著者のスタンスは還元主義的に実直なものであって、しばしば奔放なものになりがちな創発の概念を批判し、それに「実用主義的な」定義を与えるのが本書の目論見となっている。2017/05/22

Koning

8
創発と還元的説明かという生命発生の最初の一歩はどうよ?というお話。ただ、どちらにしてもそもそもの生命、あるいは生物の定義からこんだけありますよというとこから始めてなかなかに一筋縄ではいかない感じ。ざっと一読したけれど、これも有る意味積読と変わらない気分(汗。要するにもうちょい脳みその元気なときにじっくりか、巻末の文献のうち読めそうなものを読むかいづれかしないと歯が立たない(w2013/05/17

ファーストフラッシュ

2
難しい…わからない概念に名前をつけるとわかった気になる。他者と認識を共有するためには名前があったほうがいいことは確か。生命の起源は謎であってほしい気持ちがどこかにあって、論理的に考えることを拒絶している。いかんなあ…2016/01/26

2
 生命の起源に関する仮説を題材としつつ「創発」概念を詳説しており“科学的に説明(あるいは証明)できる、できない”ということが何を意味するのかを厳密に考えようとするものである。  創発とは還元不能性・予測不能性・説明不能性であり、たとえば前生物的な化学的過程→前生物的な化学的進化→前生物的な自己組織化を経て生命が誕生したとするときに、そのプロセスが論点先取りすることなく既知のものから導出できないときそれは創発的である。

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