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出版社内容情報
始まりは病室の闇で読んだカフカ。耳を澄まし、目を閉じて読んだカフカの記録。他、日々の思索を研ぎ澄まされた文体で綴った一冊。
内容説明
はじまりは病室の闇で読んだカフカ。読みなおされ、書きなおされ、翻訳しなおされてゆくカフカとの濃密な時間が、まじりけのないことばで書き留められている。高橋悠治の書きかた、音楽のつくりかたの秘密にみちた一冊。
目次
1(病気・カフカ・音楽;「カフカ」ノート;可不可)
2(明恵上人 夢記切(声明のために)
レナード・バーンステインの「平和のためのミサ」によせて
水牛 ほか)
3(「馬の頭は永遠に向かった」作曲ノート;音に向かって;メモ・ランダム ほか)
著者等紹介
高橋悠治[タカハシユウジ]
1938年東京に生まれる。作曲家・ピアニスト。桐朋学園短期大学作曲家中退。柴田南雄、小倉朗、ヤニス・クセナキスに作曲を師事。ドイツを経てニューヨークに渡り、コンピュータによる作曲を研究、そのかたわら欧米各地で演奏活動を行う。1973年に一柳慧、柴田南雄、武満徹、林光、松平頼暁、湯浅譲二とともにグループ「トランソニック」を組織、季刊誌「トランソニック」を編集。1978年タイの抵抗歌を日本に紹介するために水牛楽団を結成し、月刊「水牛通信」を発行。現在はウェブサイト「水牛」内で執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぞしま
14
感想が書けない……。前半のカフカのアフォリズムと独白を連ねていく文章は静謐で内省的、深夜眠れず一人読めば孤独な魂と共鳴する2017/01/08
kentaro mori
2
●センテンスではなく、単語の内部にはいりこむこと。たとえや慣用語としての単語の表面をすべりぬけてフレーズから状況をよみとろうとするのではなく、単語を抽象としてうけとるのでもなく、むしろ単語の起源にさかのぼり、その構成要素それぞれを、音色とリズムをもった具体的な運動としてとらえ、それらの組み合わせを文字通りにうけとること。2022/10/08
Wataru Hoshii
2
20歳ぐらいのとき、僕におおきな影響をあたえた本。音楽についてだけではなく、ものの見かたや考えかた、文体にもふかく影響された。あれからずいぶん時がたってしまった。復刊を知り、ひさしぶりに読みかえしてみる。しかしなぜか、心がかつてのように揺さぶられることはなかった。ここに書かれていることのすべてが、僕のなかにしっかりと根を張っているはずなのに。それはもちろん僕の変化であり、時代の変化でもある。かなしくもあり、あたりまえのことでもある。何かが終わっていたことを改めて知る。悠治さんありがとう。2012/02/06
peeping hole
1
「谷川俊太郎と武満徹がビリーザキッドのピストルのはなしをしていたとき、石原慎太郎は輪ゴムのピストルでハエを撃ち落としていた」。写経したいぐらい素敵なフレーズに溢れてる。この頃のニューアカ文化人(市村弘正、金井美恵子、渡部直己)みんなアラン・タネールぶち上げとるな。2021/03/17
たぬき
1
「カフカの文章で目につくこと。ーー再帰代名詞sichが動詞をたえず主語の内部に押し戻す。主語は同時にそれを書きつつある身体でもある。長くまがりくねったように見える複合センテンスも、接続詞や限定的なはたらきをする副詞が視点の位置や角度を切り替えていくカットの連続に分解される」2018/07/08