出版社内容情報
日中戦争から文革まで、激動の中国とフランスを舞台に主人公の画家と親友と恋人の運命を滔々と描く感動の長編小説。フェミナ賞受賞作
内容説明
日中戦争から文化大革命まで、激動の中国を生き抜いた三人の男女の天職と運命を描いた感動的長編小説。詩人=書家が自らの人生を込めた、フェミナ賞受賞作。
著者等紹介
チェン,フランソワ[チェン,フランソワ][Cheng,Francois]
本名、程抱一、フランスの作家・詩人・書家。1929年、中国江西省南昌に生まれる。南京大学で学業を修めた後、1948年、渡仏。1960年代からパリ東洋語学校で教えるかたわら、フランス詩の中国語訳、中国詩のフランス語訳をおこなう。1977年、『中国の詩的言語』により、フランスの読書界に現れる。以降、詩集のほか、詩論、書論、画論など著書多数があり、多くの言語に翻訳されている。初めての小説である『ティエンイの物語』は高く評価され、フェミナ賞を受けた
辻由美[ツジユミ]
翻訳家・作家。著書『世界の翻訳家たち』(1995、新評論、日本エッセイストクラブ賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
142
著者のフランソワ・チェンは、10代の終りに中国からフランスに渡り、以降をフランスで過ごし、中国には戻らなかった。本書はフランスの権威あるフェミナ賞の受賞作。物語は3部からなり、第1部では主人公の中国での青春期を描き、ここで永遠の戀人と出会う。第2部は、留学先のパリ。このあたりは、まるで『ラ・ボエーム』だ。また、ここには著者の体験が色濃く投影されてもいる。そさて、第3部は、毛沢東が権力を掌握し、やがて文化大革命を迎えるまでを描く。著者が人間の尊厳を痛切に問いかけるのはここだ。普遍的で極めて優れた現代文学。2014/10/05
星落秋風五丈原
19
なかなかティエンイが出てこないですね。前振りが多いのでは。2023/02/08
りつこ
8
日中戦争から文化大革命まで。時代に翻弄されながら生きた画家の物語。主人公は限りなく著者に近いのか。しかしなんだろう。異国の人が遠くから他人事のように見ているようであるかと思えば、渦中に入っていってぼろぼろにされる。章ごとにテンションが様変わりするので読んでいて違和感が…。なんとなく外人が見た風景のような感じがしたのはなぜなんだろう?2012/03/13
小音
8
今読み終えてこの本と出会えた嬉しさに浸っています。平易な文章の本に慣れ親しんでいる私には読みやすい本では無かったのですが、読み終えた充実感の方が勝っていて遠からず再読するつもりです。芸術的精神を持つ一人の中国人の人生を通して描かれる物語は、叙情的で内省的で民族的でもあり、また普遍的な人間の精神性を語ってくれている気がします。「ワイルドスワン」は文化大革命の事実を味わいましたが、この物語はその激動の中国で生きた多感な三人の登場人物の心情を味わえ、また中国という文化の深遠な精神性に触れれた気がする作品でした2012/01/09
ANDY
6
ずっとフランスでヴェロニカと暮らしていればいいのに…ああ、ティエンイは弾圧されるに決まってる文革の中国に帰っていく(>_<)なんて破滅的な、希望を捨てた行為。でも、ユーメイを描いた大工の家の壁画は、ページから浮かび上がるかのように目の前に見えた。2011/12/20