出版社内容情報
鬼才として知られるコミック原作者、アラン・ムーアによるグラフィック・ノベル。ファンならずともムーアの際立った作家性に触れることのできる傑作にして怪作である。
一九世紀末、ロンドンの貧民街ホワイトチャペル地区で起きた、いわゆる「切り裂きジャック」の連続殺人事件が本作のモチーフ。ノンフィクション・ノベルに奇想をはめこんだような巧妙なプロットで、ヴィクトリア朝末期の英国社会を丹念に再現しつつ、いくつもの象徴が生み出す複雑な磁場を感じさせる、独特の物語世界をつくりあげる。キャンベルの画との絶妙のコラボレーションにより、狂気の犯人しか知らないはずの場面までが、まさに圧巻の幻視力をもって描き出されている。
静止画の存在感をもつ各コマに込められた意味とニュアンスを読み解きながら、その世界に浸りたい。19世紀末ロンドンの陰鬱な情景が、巻を閉じた後も読む者の目に焼きついているだろう。
小説的な読み心地と鮮烈な絵の力を兼ね備え、サスペンスとイリュージョンに満ちた、無類のエンターテイメント。
【上巻目次】
プロローグ 海辺の老人たち
第一章 若きS氏の愛情生活
第二章 暗闇の状態
第三章 脅迫、またはミセス・バレット
第四章 「王は汝に何を求めたるや?」
第五章 無視の報い
第六章 九月
第七章 破れた封筒
第八章 恋だにあらば
【著訳者紹介】
作:アラン・ムーア(Alan Moore)
コミック原作者として本作『フロム・ヘル』や『ウォッチメン』など強烈な個性を放つ作品群を世に送り出し、多くのコミック作家や他分野のクリエイターたちに影響を与え続ける鬼才として知られる。彼の作品はコミックの枠を越えて高い評価を受けている。
画:エディ・キャンベル(Eddie Campbell)
ペン&インクによる独特の画風で知られる、スコットランド生まれのコミック作家。オーストラリア在住。
訳:柳下毅一郎(やなした・きいちろう)
英米文学翻訳家・映画評論家。訳書に、J・G・バラード『クラッシュ』(東京創元社)、ジーン・ウルフ『ケルベロス第五の首』(国書刊行会)、ジョン・スラデック『蒸気駆動の少年』(河出書房新社)など。
内容説明
いわゆる「切り裂きジャック」の連続殺人事件が本作のモチーフ。ノンフィクション・ノベルに奇想をはめこんだような巧妙なプロットに、作者の本領たるダイナミックな構成力、奥行きのある世界観・人間観が活かされている。丹念に再現されたヴィクトリア朝末期の英国社会に、いくつもの象徴が生み出す複雑な磁場がはりめぐらされる。小説的な読み心地と鮮烈な絵の力を兼ね備え、サスペンスとイリュージョンに満ちた、無類のエンターテインメント。鬼才として知られるコミック原作者によるグラフィック・ノベルの傑作。
著者等紹介
ムーア,アラン[ムーア,アラン][Moore,Alan]
1953年、イギリスのノーサンプトンに生まれる。コミック原作者として強烈な個性を放つ作品群を世に送り出し(四作品はハリウッドで映画化もされている)、多くのコミック作家や他分野のクリエイターたちに影響を与えている。『ウォッチメン』は1980年代のアメリカン・コミック/グラフィック・ノベルの記念碑的作品となり、ヒューゴー賞(コミック作品が受賞した初の例)を受賞するなど、コミックの枠を越えて高い評価を受けている
キャンベル,エディ[キャンベル,エディ][Campbell,Eddie]
1955年、スコットランド生まれのコミック作家。オーストラリア在住
柳下毅一郎[ヤナシタキイチロウ]
英米文学翻訳家・映画評論家。1963年生まれ。出版社勤務ののち、映画評論家に。多摩美術大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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