フロム・ヘル〈上〉

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  • サイズ B5判/ページ数 1冊/高さ 26cm
  • 商品コード 9784622074915
  • NDC分類 726.1
  • Cコード C0079

出版社内容情報

鬼才として知られるコミック原作者、アラン・ムーアによるグラフィック・ノベル。ファンならずともムーアの際立った作家性に触れることのできる傑作にして怪作である。
 一九世紀末、ロンドンの貧民街ホワイトチャペル地区で起きた、いわゆる「切り裂きジャック」の連続殺人事件が本作のモチーフ。ノンフィクション・ノベルに奇想をはめこんだような巧妙なプロットで、ヴィクトリア朝末期の英国社会を丹念に再現しつつ、いくつもの象徴が生み出す複雑な磁場を感じさせる、独特の物語世界をつくりあげる。キャンベルの画との絶妙のコラボレーションにより、狂気の犯人しか知らないはずの場面までが、まさに圧巻の幻視力をもって描き出されている。
 静止画の存在感をもつ各コマに込められた意味とニュアンスを読み解きながら、その世界に浸りたい。19世紀末ロンドンの陰鬱な情景が、巻を閉じた後も読む者の目に焼きついているだろう。
 小説的な読み心地と鮮烈な絵の力を兼ね備え、サスペンスとイリュージョンに満ちた、無類のエンターテイメント。

【上巻目次】
プロローグ 海辺の老人たち
第一章 若きS氏の愛情生活
第二章 暗闇の状態
第三章 脅迫、またはミセス・バレット
第四章 「王は汝に何を求めたるや?」
第五章 無視の報い
第六章 九月
第七章 破れた封筒
第八章 恋だにあらば

【著訳者紹介】
作:アラン・ムーア(Alan Moore)
コミック原作者として本作『フロム・ヘル』や『ウォッチメン』など強烈な個性を放つ作品群を世に送り出し、多くのコミック作家や他分野のクリエイターたちに影響を与え続ける鬼才として知られる。彼の作品はコミックの枠を越えて高い評価を受けている。

画:エディ・キャンベル(Eddie Campbell)
ペン&インクによる独特の画風で知られる、スコットランド生まれのコミック作家。オーストラリア在住。

訳:柳下毅一郎(やなした・きいちろう)
英米文学翻訳家・映画評論家。訳書に、J・G・バラード『クラッシュ』(東京創元社)、ジーン・ウルフ『ケルベロス第五の首』(国書刊行会)、ジョン・スラデック『蒸気駆動の少年』(河出書房新社)など。

内容説明

いわゆる「切り裂きジャック」の連続殺人事件が本作のモチーフ。ノンフィクション・ノベルに奇想をはめこんだような巧妙なプロットに、作者の本領たるダイナミックな構成力、奥行きのある世界観・人間観が活かされている。丹念に再現されたヴィクトリア朝末期の英国社会に、いくつもの象徴が生み出す複雑な磁場がはりめぐらされる。小説的な読み心地と鮮烈な絵の力を兼ね備え、サスペンスとイリュージョンに満ちた、無類のエンターテインメント。鬼才として知られるコミック原作者によるグラフィック・ノベルの傑作。

著者等紹介

ムーア,アラン[ムーア,アラン][Moore,Alan]
1953年、イギリスのノーサンプトンに生まれる。コミック原作者として強烈な個性を放つ作品群を世に送り出し(四作品はハリウッドで映画化もされている)、多くのコミック作家や他分野のクリエイターたちに影響を与えている。『ウォッチメン』は1980年代のアメリカン・コミック/グラフィック・ノベルの記念碑的作品となり、ヒューゴー賞(コミック作品が受賞した初の例)を受賞するなど、コミックの枠を越えて高い評価を受けている

キャンベル,エディ[キャンベル,エディ][Campbell,Eddie]
1955年、スコットランド生まれのコミック作家。オーストラリア在住

柳下毅一郎[ヤナシタキイチロウ]
英米文学翻訳家・映画評論家。1963年生まれ。出版社勤務ののち、映画評論家に。多摩美術大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

吉田あや

81
圧倒的な闇に酩酊し、まだ下巻があるというのにフラフラな気分になるほどの濃密さ。1888年のロンドン市街から漂う湿度を含んだ悪臭が体中を包み込んでいく。未だ迷宮事件である切り裂きジャックを題材に、アラン・ムーアが展開する王室陰謀説は、現実の宗教的歴史を背景に様々な要素を重層的に見せられるが故に、ノンフィクションのようで底知れぬ恐怖を感じた。犯人とされる人物が滔々と馬車の御者に語るフリーメイソンの成り立ちや神話のパートは情報量も物凄く圧巻。(⇒)2020/04/01

Vakira

39
ちょうど現在森アーツセンターにて「ルーブルNO.9」という9番目の芸術=漫画の美術展をやっている。色んな雑誌でフランスの漫画特集がくまれている。フランスの漫画は基本カラーでリアルな画。BD(バンド・デシネ)と呼ばれているようだ。そんな知識も無く、てっきりルーブルNO.9関連と思い込み読んでしまった。これはアメリカの作品でBDとは違うようだ。グラフィックノベルとのジャンル。19世紀のロンドン、切り裂きジャックの話。モノクロでその画はなかなかリアルでグロく恐い。エレファントマン登場。「第4の次元」って???2016/07/28

かんやん

31
グラフィックノベルって、要はマンガでしょ……とはいえ、読者を煙に巻く情報量の多さと描写の濃密さに眩暈がする(絵のタッチそのものは荒いです)。ヴィクトリア朝ロンドンはイーストエンドへ。切り裂きジャックとは誰か?しかし、これは犯人探しのミステリーではなく、陰謀論とオカルトである。被害者の娼婦たち一人一人の人生、底辺の生活が丁寧に描かれていて好感が持てるが、それはつまり生々しく残酷な殺害シーンに凹まされるということ。フリーメーソンの秘儀、ヴィクトリア女王、エレファントマン……エンタメと割り切ることにする。2020/06/29

内島菫

22
ジャック・ザ・リッパーの黒幕が王家ということや殺し方の残忍さよりも、実行犯であるガル博士(フリーメイソン)の思想が(語弊があるかもしれないが)魅力的。彼が、古代の母権制から男性が主導権を奪ったものの、本作の時代(19世紀後半)にはそれが弱まってしまったため男権の象徴である太陽や星のもと、月である女性の力を削ぎ、唯一神である自身の内側に巨大な力を幻視する思想を、ロンドンの、太陽=男性の象徴=男根的な建築物を経めぐりながら解説する部分が最も楽しめた。2020/02/02

hikarunoir

14
「再読しなければ意味を持たない書籍」という存在の重み。ある土地を訪れた際に、いくつかの極私的かつ、それぞれ無関係と思い込んでいたタイムスライスが、一本の針で貫かれたような名状し難い感覚に囚われたのが原因で、十年越しに再び手に取る。言語化の難しいあの針こそ、四次元の方向性と悟った。次元は土地に宿る。2020/06/04

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