第一次世界大戦の起原 (改訂新版)

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  • サイズ B6判/ページ数 357,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622073215
  • NDC分類 209.71
  • Cコード C1022

内容説明

戦争と革命の世紀となった20世紀。その序幕は、第一次世界大戦の勃発だった。“運命の夏”1914年7月に、長い導火線の火はついにサライェヴォで爆発し、ヨーロッパ各国はつぎつぎと戦争に突入する。しかもそれは短期決戦という予想を裏切り、史上はじめての総力戦となった。開戦の複雑な経緯は、いまだに歴史家を魅了してやまない。著者はいわゆる「7月危機」に焦点を絞り、そこにダイナミックに集中していく歴史の力学のベクトルを、ひとつひとつ検証していく―帝国主義的な軍備競争、各国の内政の力関係、国際経済、時代の雰囲気。それらは開戦の決定にどう連動したか。また、決定責任者の個人責任はどこまで追及されるべきか。改訂新版は、初版刊行後8年間の研究を組み込み、とくに戦争の導火線といわれたイタリアの動向をより深く掘り起こして、戦争の起原を長いタイムスパンで解明する。

目次

第1章 序論
第2章 一九一四年七月危機
第3章 同盟外交と旧外交
第4章 軍国主義・軍備・戦略
第5章 内政の圧力
第6章 国際経済
第7章 帝国主義の対立
第8章 一九一四年の雰囲気
第9章 むすび

著者等紹介

ジョル,ジェームズ[ジョル,ジェームズ][Joll,James]
1918‐1994。イングランドに生まれる。ボルドー大学とオックスフォード大学ニュー・カレッジで教育を受ける。第二次世界大戦のとき、イギリス陸軍の司令部に勤務し、特別作戦に従事(歩兵科)。戦後直ちにニュー・カレッジに復帰し、フェロー兼政治学および現代史の講師となる。1951年、新設のセント・アントニーズ・カレッジのフェロー兼副学長に選ばれる。同時に現代史および政治学の講座を担当。1967年、ロンドン大学のスクール・オブ・エコノミックス・アンド・ポリティカル・サイエンスに招かれ、サー・チャールズ・ウェヴスター(Sir Charles Wevster)、W.N.メドリコット(Medlicott)の後任として、国際関係史の教授(Stevenson Professor of International History)に就任、1981年退職、その間、客員教授として、スタンフォード大学(1958)、ハーバード大学(1962)、東京大学(1964)、プリンストン高等研究所(1953、1971)などから招かれ、1977年以降、ブリティッシュ・アカデミー会員

池田清[イケダキヨシ]
1925年鹿児島県に生まれる。1952年東京大学法学部卒業。元青山学院大学国際政治経済学部教授。専攻は政治外交史。2006年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

73
部分読みしていたが今回通読。第一次世界大戦がなぜ始まったかという課題を、政治、外交だけでなく経済や人々の意識など、社会を構成する様々な要素から分析し、それらの複合に因ったとする。したがって簡単に「こういうわけで始まった」とはできないのだが、通して読むとおぼろげながら何が起こったのかが見えてくる。はっきり分かるのは戦争を始めたとき、その決断をした人たちには先が見えていなかったということ。『八月の砲声』はこのへんを叙述的に書いているが、本書はぐっと構造的に踏み込んでいる。様々な点に目配せの利いた素晴らしい本。2022/02/28

Z

9
良書。歴史の通史ではなく、何故第一次世界大戦が開始されたかを考察した本。複雑に絡み合った同盟は、勢力均衡を目指した外交戦略が崩れると、一気にバランスが崩れだした。多民族国家だったオーストリア帝国は汎スラブ主義と汎ゲルマン主義の対立で国内は不穏になる。各国、兵隊を増加させたいなか、民主主義思想の高まりのなか、きゅうきゅうとしたり、逆に政府が宣伝で戦争熱の高まりを成功されると、それまで民主主義を導入しようとしていた団体の規律が、戦争協力に役立ったなど、面白い考察が、内政、外交、経済などの視点からなされる本2015/07/31

belier

7
第一次世界大戦前夜の状況をあらゆる角度から、検証した非常に密度の濃い本。この時からもう「欧州の情勢は複雑怪奇」だった。戦争すればダメージが互いに大きいと分かっていたはずなのに、冷静さを欠いて戦争に至ったというのが恐ろしい。近隣同士の国が挑発しあい愛国心を鼓舞する状況は、今日の東アジアに似てなくもない。防衛力を強化すべきとして軍備増強すると他の国の軍備増強につながり、万一の戦いに備えそれぞれの国が戦いの計画を練り、結局歯止めが利かなくなって世界大戦まで発展してしまった教訓を学ぶべきである。2015/04/19

contradiction29

6
「第一次世界大戦の原因は何か」という問いに対する著者の結論はかなり謙虚で、「幾らかの説を検討してみたが、どの説も決定的なものとは言えない。可能性があるとすれば、当時の時代的な雰囲気の中にある」というものだった。ここから小野塚編(2014)に繋がっていくのか。高校世界史でもWW1はやるが、その頃はかなり適当な説明を受けていた気がするので(地図上で確認すればかすりもしない「 3B政策と3C政策の対立」など)、こうして専門書で検討してみると、意外にもスッキリとは結論が出ないものだと分かったのはよかった。2021/10/07

5
訳者あとがきにもあるとおり、過度の断定を避けながらも第一次大戦の諸原因について広く分析している。ベートマン=ホルベークのビューローへの引き継ぎ時の有名なエピソードに代表されるような、第一次世界大戦が巨大な流れによって引き起こされたという感覚をある程度説明しつつも、しかしそれを加速していった指導者たちや時代の雰囲気を糾弾する分析は、歴史に学ぼうとする真摯な姿勢を感じさせる。2019/04/17

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