出版社内容情報
精神医学のパイオニアでありながらフロイトの陰に隠れ、再評価の進むジャネの名著。22年におよぶ一人の女性の症例研究。
内容説明
19世紀末、力動精神医学の第一人者ジャネを震撼させた女性「マドレーヌ」。その数奇な生涯、豊かな宗教妄想、苦悶と恍惚、治癒までを綿密に綴る古典的名著。
目次
第1章 生活史(子ども時代、少女時代;清貧への憧憬;サルペトリエール入院;退院、家族のもとへの帰還)
第2章 慰安状態と恍惚(慰安状態、その諸相;外部にみられる行為の消滅;外部活動に対する無関心;精神活動、神との一体化;神との一体化、その知的加工;「長い物語」にみる信念)
第3章 恍惚期、歓びの感情(平穏と力感の歓び;身体感覚の歓び;審美的感覚の歓び;知性化の感情;道徳的清らかさ;神聖な生;恍惚の心理学的特徴)
第4章 基底にある病態(誘惑状態、病気に占めるその重要性;誘惑状態にみる強迫観念;誘惑状態にみられる行動と信念の障害;枯渇状態;苦悶状態)
第5章 均衡状態、そして全体の経過(均衡状態;病気の身体的器質的背景;精神病状態の経過)
著者等紹介
ジャネ,ピエール[ジャネ,ピエール][Janet,Pierre]
1859‐1947。パリに生まれる。フロイトとならぶ代表的心理学者。19世紀末サルペトリエール病院でヒステリー、解離の心離学的治療に携わり、外傷性記憶、意識下固着観念、意識野の狭窄、交代性人格、心理学的エネルギー、心的緊張、心的傾向(人格)の階層構造など重要な諸概念を提唱。後半は、ヒステリーから強迫観念、精神衰弱の病理学的考察に視点を移し、それらの論考をコレージュ・ド・フランスで「社会的人格の研究」と題して講じている
松本雅彦[マツモトマサヒコ]
1937年に生まれる。精神科医。1964年京都大学医学部卒業。阪本病院、京都大学精神科勤務を経て、京都大学医療技術短期大学部教授、京都府立洛南病院院長、京都光華女子大学教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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