出版社内容情報
「丸山眞男が、戦後日本の重要な思想家であることは、多くの人が認めるところであろう。だが、その膨大な作品に結晶している丸山の思想と思考は全体としてどのような構造を成しているか、かれの作品群は相互にどう連関しあってどういう政治原理や人間論を提起しているか、そうした思想的な営みの基底をなす丸山の〈生〉がどういうものであり、それがかれの作品をどう規定しているか、総じて丸山の思想世界はどういうものか――こうした問いを改めて突きつけられると、われわれがもっていた丸山イメージはゆらぎ出す」
著者も記しているように、丸山眞男の思想世界は複合的で、ときに二律背反的にみえる。本書は、丸山の作品群にあらわれた多様な思想的諸要素と思考方法を丹念に追いながら、著者の問題関心ともからめて、一つの思想像を再構成する試みである。学生時代の論文「政治学に於ける国家の概念」『日本政治思想史研究』から『自己内対話』『丸山眞男講義録』まで、佐久間象山、福沢諭吉からヴェーバー、フルトヴェングラーまで、論文・座談を問わず、丸山の作品を網羅した本書からは、一人の思想史家の像がくっきりと浮かび上がる。
巻末に付した三つの「索引」を含め、本書は、これから丸山眞男を読む人のための道案内になるとともに、その開かれた思想世界の全体を今後の時代に生かしてゆくために、なくてはならない書にもなるだろう。
笹倉秀夫(ささくら・ひでお)
1947年、兵庫県に生まれる。1970年東京大学法学部卒業。1972年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。東京大学法学部助手、大阪市立大学法学部教授を経て、現在 早稲田大学法学部教授。著書『近代ドイツの国家と法学』(東京大学出版会、1979)『丸山真男論ノート』(みすず書房、1988)『法哲学講義』(東京大学出版会、2002)。
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丸山眞男の本:
『戦中と戦後の間』
『自己内対話』
『丸山眞男の世界』
NHKビデオ『丸山眞男と戦後日本』
内容説明
「政治学に於ける国家の概念」から『自己内対話』、『講義録』まで、精細かつ展望的な作品分析を通して一思想史家の複合的な思想構造を呈示する試み。丸山真男の世界への道案内=現代世界の考察の書。
目次
第1部 丸山における“生と形成”(「生」への深いかかわり;「形式」の重視)
第2部 丸山における“政治主体”の構造(個人と社会の緊密化;個人の内的自立;中間考察―「アンチノミーの自覚」 ほか)
第3部 丸山における“複合的な思考”(思想家論・歴史像に見られる“複合的な思考”;学問姿勢に見られる“複合的な思考”;根本思想上の“複合的な思考”―自立性と主体性をめぐって)
著者等紹介
笹倉秀夫[ササクラヒデオ]
1947年、兵庫県に生まれる。1970年東京大学法学部卒業。1972年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。東京大学法学部助手、大阪市立大学法学部教授を経て、現在早稲田大学法学部教授
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