出版社内容情報
本書は、マハトマ・ガンディーの歴史的存在と、かれが「真理」(サティヤーグラハ)と呼んだものの意味についての、「西洋」の一精神分析学者の探究である。
エリク・エリクソンは、1962年、ライフ・サイクルに関するセミナーのためアーメダバードを訪れる。1918年にガンディーによって紡績工場ストライキが指導され、初めての断食がおこなわれた都市である。ストは成功のうちに収拾された。しかし、後年執筆された『自伝』や伝記において、この事件の記述はわずかであり、そこにはある種の困惑さえ含まれている。この着目から著者は、ガンディーの不安の底にあるものへ関心を凝縮し、真理把握への試行を明らかにしようと試みた。
第一巻では、『自伝』の全体と、当時の信奉者との親しい触れ合いから得られた証言に、臨床的観察を加えつつ、事件を再構成する(第一部)。さらに幼年期と青年期の徹底した解釈を通じて、父と息子、母と子、友人、セクシュアリティなどのアンビヴァレントな構造を分析し、のちの実存的実験の基礎を浮彫りにする(第二部)。
各世代を通ずる現代のアイデンティティ確証の要求にたいして深い示唆を与えずにはおかぬであろう。
全2巻
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Erik H.Erikson(エリク・H・エリクソン)
1902年ドイツに生まれる。精神分析家・思想家。アンナ・フロイトに教育分析を受け、ウィーン精神分析研究所で児童の分析に従事。1933年渡米、ボストンで児童分析医を開業しつつ、M.ミード、G.ベイトソン、R.ベネディクトなどと交流をもった。1938年スー族の幼児教育を調査し、人間の成長と文化的・社会的環境との関係を理論づけた。1939年サンフランシスコに移り、カリフォルニア大学児童福祉研究所で研究を継続、1946-50年にかけ『幼児期と社会』1、2(みすず書房、1977、1980)を著わし、彼の発達理論の基礎をなすエピジェニシスの原理を明確にした。マッカーシー旋風のとき忠誠宣言を拒否し、カリフォルニア大学を去り、1950-60年、オースチン・リッグス・センターの主任医師として活躍した。1958年『青年ルター』1、2(みすず書房)によって心理=歴史的研究方法を試みた。1960-70年ハーヴァード大学で人間発達講座の教授。その後シカゴのロヨラ大学エリクソン幼児教育研究所顧問。主著はほかに『洞察と責任』(1964、誠信書房、1971)『アイデンティティ――青年と危機』(1968、金沢文庫、1973)『歴史のなかのアイデンティティ』(1974、みすず書房、1979)『ライフサイクル、その完結』(1982、みすず書房、1989)『老年期』(1986、みすず書房、1990)など。1994年没。
星野美賀子(ほしの・みかこ)訳
1931年広島に生まれる。1954年津田塾大学卒業。1956年東京大学大学院英文科修士課程修了。米国ラドクリフ大学留学、元津田塾大学教授。著書『T.S.エリオット――詩と人生』(1982、研究社)。訳書 ロザモンド・レーマン『ジプシーの赤ん坊・雪どけ』(共訳、1958、英宝社)。
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関連書:
E・H・エリクソン『ライフサイクル、その完結(増補版)』
E・H・エリクソン『幼児期と社会 1』
E・H・エリクソン『幼児期と社会 2』
E・H・エリクソン/J・M・エリクソン/H・Q・キヴニック『老年期』
E・H・エリクソン『玩具と理性』
E・H・エリクソン『青年ルター 1』
内容説明
インド独立運動において、戦闘的非暴力を掲げたガンディー。その根底に息づく、サティヤーグラハ=「真理を把握しようとする精神」の形成過程に心理学者が迫る。
目次
ある事件の残響(インド・最初の出会い;アーメダバードにおけるセミナー;捉えにくい事件)
調査(証人たち;敵対者;四人の老インド人)
過去(幼年時代と青年時代;誓いから天職へ;南アフリカの家長)
著者等紹介
エリクソン,E.H.[エリクソン,E.H.][Erikson,Erik H.]
1902年ドイツに生まれる。精神分析家・思想家。アンナ・フロイトに教育分析を受け、ウィーン精神分析研究所で児童の分析に従事。1933年渡米、ボストンで児童分析医を開業しつつ、M.ミード、G.ベイトソン、R.ベネディクトなどと交流をもった。1938年スー族の幼児教育を調査し、人間の成長と文化的・社会的環境との関係を理論づけた。1939年サンフランシスコに移り、カリフォルニア大学児童福祉研究所で研究を継続、1946‐50年にかけ『幼児期と社会』1、2(みすず書房、1977、1980)を著わし、彼の発達理論の基礎をなすエピジェニシスの原理を明確にした。マッカーシー旋風のとき忠誠宣言を拒否し、カリフォルニア大学を去り、1950‐60年、オースチン・リッグス・センターの主任医師として活躍した。1958年『青年ルター』1、2(みすず書房)によって心理=歴史的研究方法を試みた。1960‐70年ハーヴァード大学で人間発達講座の教授。その後シカゴのロヨラ大学エリクソン幼児教育研究所顧問
星野美賀子[ホシノミカコ]
1931年広島に生まれる。1954年津田塾大学卒業。1956年東京大学大学院英文科修士課程修了。米国ラドクリフ大学留学。元津田塾大学教授
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