出版社内容情報
男女のろう者と「聞こえる」娘の半世紀にわたる生活の物語。ろう者の内面をきめこまやかに描く。
内容説明
聾者の両親から生まれた子どもは「聞こえる」娘だった。無関心と誤解と苦難に対する半世紀の闘い。きびしい人間的現実への人間的感情の深さで読者を打つ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Sana Sana
1
1974年に刊行されたのが初め。コーダの本に関連して紹介された文献で、なにかの映画の元となったと知り、読了。ろう者の姿を、ここまで表現できるのかというほどの迫真の表現。聴覚障害者の出てくる現存小説としては最古では? 初めから最後まで懐かしさをもって読ませていただいた。たしかに私の知る聴覚障害者像がそのまま生き生きと描かれている。途中出てくるコーダの子どもの悲痛な叫び声も共感できるが、愛憎一体として切り離せない聾唖の家族への不思議な連帯感もかなり共感できた。もう一度読んでもいいと思える本。重たいなりに。2019/03/18