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出版社内容情報
明治時代のある教誨師が書いた死刑囚の記録が発見された。その手記には死刑に抗する文言が切々と綴られていた。死刑存否が改めて注目を集めるいま必読の歴史ノンフィクション!
内容説明
ある研究所に所蔵されていた膨大な手記。そこには死刑制度にあらがう明治時代の教誨師の言葉が記されていた。その信念に秘められた彼自身の過去とは―。人には必ず「新しい生」の可能性がある。国家に屈しない人びとを追ってきた著者が挑む歴史ノンフィクション。
目次
プロローグ
第1章 死刑囚に寄り添って
第2章 死刑否定と「大逆事件」の相剋
第3章 手記を守った元江戸町与力
第4章 手記を生んだ原風景
著者等紹介
田中伸尚[タナカノブマサ]
1941年東京生まれ。朝日新聞記者を経て、ノンフィクション作家。『ドキュメント 憲法を獲得する人びと』(岩波書店)で第八回平和・協同ジャーナリスト基金賞、『大逆事件―死と生の群像』(岩波書店、のち岩波現代文庫)で第五九回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
25
田中一雄教誨師は、接した死刑囚のほとんどに「死刑執行の必要なし」との判断をしている。ただ、例外あり。田中の言に耳を傾けなかった者。そして、唯一死刑やむなしと断じた男の生業は乞食。著者は、明治の死刑反対論者として田中を高く買っているが、田中の"慈悲"は、よく言えば憐み、悪しく言えば見下しともとれる。証左として、誰も殺さず極刑となり、死に赴いた大逆事件の一二名に対しては、コメントを残していない。著者は、言論封印を田中の無念と美化しているが、要は国家権力にモノ言うことにビビっただけではないか。2023/07/10
kameyomi
13
大逆事件以前から教誨師として死刑囚と向き合ってきた田中一雄の「死刑須く廃すべし」とする手記を丁寧に検証している。1907年頃には、監獄現場から死刑廃止論が盛り上がっていたという事実には驚いた。機関誌『監獄協会雑誌』に田中も寄稿している。何故今現在、その様な主張が積極的に湧き出て来ないのだろう。冤罪の問題や、被害者やその家族の心情の問題等、様々な観点から充分な議論がなされた後、やはりすべからく廃すべきなのではないかと思う。2024/05/18
フクロウ
3
教誨師・田中一雄の手記の中身が知れるのは有り難いが、著者が地の文で感想やレトリックや臆断を書き連ねており読みづらい。いかにも新聞記者から転じたノンフィクション作家が書きそうな文章ではある。学術的な文章を書く訓練しないとこうなるという意味で良い反面教師ではある。/他方で、田中一雄の生い立ちに迫る第四章は史料の乏しさと相変わらずの臆断飛躍はあるものの圧巻ではある。特に田中一雄自身が会津出身で贋金作りに加担して追われ死刑直前に偶然助かったこと、医師だったことが教誨活動に繋がったのではとの示唆は説得的。2023/07/13
CBF
1
(★★☆☆☆) ある研究所に所蔵されていた膨大な手記。そこには死刑制度にあらがう明治時代の教誨師の言葉が記されていたー。 教誨師、という職業自体を知らなかったから興味が湧いた。ただ、手記やその著者の来歴を追う歴史ノンフィクション的な内容がメインで、読み物としてはあまり面白くなかった。教誨師と死刑囚との具体的なやり取りや更生のエピソードをもっと知りたかった。 『...密行主義によって国家の名で合法的に生身の人を殺すという、死刑制度の持つ本質について深刻に考えないで済む社会意識ができ上がっていった。』2023/09/16
読書の鬼-ヤンマ
1
2023年4月19日初版第1刷、図書館本。9月4日NHK:フランケンシュタインの誘惑。森林太郎、文豪にして陸軍軍医。陸軍vs海軍、白米vs麦飯。鴎外は、陸軍兵士約3万人を栄養不良死(脚気)させた。死刑に値する?で本書。P66:”大逆事件”=天皇制廃止の社会主義活動家:死刑囚・菅野須賀子と田中一雄(教誨師、浄土真宗僧侶)。P40:情欲殺人:①縛り猿轡、数カ所刺し性器損傷暴行、金品命略奪の死刑囚、②死刑判決後、改心。生きる権利⇒死刑廃止論。著者田中伸尚さんへ。妻や孫娘があなたの目の前で①の凌辱・恥辱。許すの?2023/09/10
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