出版社内容情報
日常語を出発点として分裂病性の自閉を見直し、人間に普遍な挫折の様態に、現存在分析で迫る。
内容説明
ヨーロッパの諸言語におけるきわめて日常的な表現の検討を出発点として、著者は分裂病者が与える印象の記述から現象学的経験という広い地盤へと考察をすすめる。こうした現存在分析の方法によって、表題の三形態は、たとえば「広さと高さの不均衡」「捻れと歪み」「歴史的運動性の行き詰まり」というように、世界内存在の構造のなかに置かれ、解釈されていく。「わざとらしさ」の章では、創造的精神と分裂病とを慎重に区別しつつ、マニエリスムについてのさまざまな芸術学的研究を例にとって興味深い考察がなされる。大著『精神分裂病』と対をなすビンスワンガーの重要な業績であると同時に、精神医学の枠を超えた独特の魅力を持つ書物である。
目次
1 思い上がり
2 ひねくれ(臨床と精神病理に関して;ひねくれという表現とその言い換え;ひねくれという表現とその言い換えの人間学的意味;ひねくれという表現とその言い換えの存在論的意味 ほか)
3 わざとらしさ(日常語および精神病理学用語におけるわざとらしさの解釈;分裂病性衒奇症の臨床的見解および記述について;分裂病性現存在形式としてのわざとらしさについて;芸術様式としてのマニエリスム ほか)