出版社内容情報
反アパルトヘイトの闘士を両親にもつ南アの娘ローザが自分探しの旅に。ノーベル賞作家の主著。
内容説明
南アフリカ―少女は、悪名高いアパルトヘイトの社会のなかで翻弄されながら育ち、女になり、やがて自分を探す旅に出る…海を越えてみよう…。父親が獄死した今、ひとり残されたローザ・バーガーには、知りたいことがある、それも自分の身体をとおして―バーガーの娘であることの意味。1991年、女性として25年ぶりにノーベル文学賞を受賞した作家の主著。南アでは一時発禁処分を受けたが、今では各国語に翻訳され、20世紀を代表する世界文学の金字塔になった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
秋 眉雄
18
南アフリカ、アパルトヘイトの時代。少女時代から要注意人物であり、常に国家の監視下にあるローザ・バーガー。反アパルトヘイト運動の要人である父が獄死。これぞ革命家って感じの母が病死。弟が事故死。一緒のベッドで育った黒人少年は行方不明。恋人は海に消えた。と、そうなったときに二十代後半の自分とはいったい何者なのか。何者であり得るのかということを手探る物語。2018/10/31
無識者
13
娘は親に振りまわされて、振りまわされて、振りまわされる…両親ともにマルクス主義者の活動家で娘にローザと名付ける。ローザ・ルクセンブルクからとった名前だ…両親は同時に投獄されないように気を付けるものの結局両方とも投獄され両方とも獄死してしまう。ローザは公安にマークされる。感想としては時系列が入り混じっていてなかなか整理できなかった。戦前日本のマルクス主義者に似たようなところあるなぁと・・・高校時代差別に興味持って買ってみたものも読まずにいて、本棚の片隅に追いやられていたものを片付けられてよかった。2015/12/07
てれまこし
4
南ア共産党指導者の娘の話。他の党員は自らの意志で来るのか来ないのかわからない「未来=共産社会」のために人生を賭けてる。しかし、肉親であるローザにとって「未来」は選択ではない。血のつながりによる世襲である。そしてあらゆる世襲財産と同じく、それは呪いの側面をもつ。親が死んでもそのレガシーがまとわりつく。何をしようとも同志や政府官憲には自分は英雄・裏切り者の娘である。だが、白人である自分は他の白人と同様に生きる権利があるんじゃないか。何を好んで、怪しげな「未来」のために「現在」を全て犠牲にしないとならないのか。2019/12/31
ゐ こんかにぺ
0
反アパルトヘイト=共産主義とみなされていたとは。我々の知らなかった世界がここに。-わたしはどこかよその土地を知ってみたいんです。-2012/04/03
qbmnk
0
読み応えのある本。南アフリカのアパルトヘイト時代の話。小説であり実際のところは知る由もないが、当事者としての感覚がリアルに描写されているように感じた。続きも楽しみ。2018/06/02