出版社内容情報
『宝島』からボルヘスまで、ストーリーテラーの魅力の根源を探り、少年期の意味を再発見する。
内容説明
「宝島」「海底二万マイル」「宇宙戦争」、トールキンとボルヘス…。なじみ深い物語の数々から、不治の物語中毒者がその魅力の源泉を探り、少年期の意味を再発見。
目次
1 ストーリーテラーの失権
2 曖昧さという宝物―スティーヴンソン『宝島』
3 下降の旅―ヴェルヌ『地底旅行』『海底二万マイル』
4 アウトローの勝利―クロンプトン『英雄ウィリアム』
5 ドラゴンの棲む地―ドイル『失われた世界』
6 モンプラチュムの海賊―サルガリ『海王号の冒険』
7 星に棲むもの―ウェルズ『宇宙戦争』
8 虎を待ち伏せて―狩猟文学の世界
9 果てしなき遍歴―ロンドン『星を駆ける者』
10 妖精の国―トールキン『指輪物語』
11 サクラメントの流れ者―ガンマンの末裔
12 身震いの意味―恐怖小説への誘い
13 手掛りを残さぬ殺人犯―推理小説の魅力
14 ボルヘス=二対一―精神の迷宮
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がんぞ
1
スペインの哲学者による、冒険小説に対する(数々の名作を参照しつつの)考察。少年時代に必須の読書は波乱万丈の筋書で読ませるものではあるが(日本では知られていない『ハロルド』シリーズの実例でわかるように)日常生活にも冒険はあり、主人公の死は《英雄の死》であって「死の克服」ゆえに繰り返し読むのに堪える。ミステリーの「非日常の死」は、死の日常性を忘れさせる。ウェルズ『宇宙戦争』を通じてSF一般への考察も有り、スペインでは「侵略」という語へのイメージが暗くなく「文明開化」の意味合いがあるように思う。最終章がボルヘス2017/11/07