アザンデ人の世界―妖術・託宣・呪術

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  • サイズ A5判/ページ数 630,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622038412
  • NDC分類 389.44
  • Cコード C3039

内容説明

「妖術と託宣と呪術は三角形の三辺のようなものだ」。1937年に刊行されるや、人間の世界構築の方法がいかに独創的かつ多様かを示し、人類学に新たな画期を開いた名著である。待望久しい完訳。

目次

第1部 妖術(妖術は身体的、遺伝的な現象;妖物は開腹によって見つけられる;妖術と結びつけられる他の邪悪な存在;妖術の概念は不運な出来事を説明する;妖術に対抗する行為は社会的に規制されている;不運に見舞われた人は敵対者のなかに妖術師を探す;人は憎しみを抱いたとき他者に妖術をかける;妖術師は意識的に行動するのか;妖術と夢)
第2部 妖術医(妖術医はいかにして妖術を解くか;妖術医に対するアザンデ人の信頼;新しく妖術医にしたてるための訓練;アザンデ社会における妖術医の地位)
第3部 託宣(日常生活における毒託宣;毒の採取;毒託宣に伺いをたてる;毒託宣に伺いをたてることから生じる問題;他の託宣の方法)
第4部 呪術(善い呪術と邪術;呪術と呪術師;治療術;呪術を行うための結社;死の状況下における妖術、託宣、呪術)

著者等紹介

エヴァンズ・プリチャード,E.E.[EvansPritchard,Edward Evan]
1902年イギリスのイースト・サセックス州に生まれる。オックスフォード大学で近代史を専攻した後、社会人類学に関心を抱き、1926年に最初のアザンデ現地調査を行なう。1927年ロンドン経済学院大学で博士号取得、指導教官はC.G.セリグマンとB.マリノフスキーであった。1932年カイロのエジプト大学教授、1935年オックスフォード大学講師となる。この間に、アザンデの再調査および同じくスーダンで四次にわたるヌアー、短期間のアヌアク、インガッサナ、ケニアにおいてルオなどの調査を行なう。第二次大戦中はエチオピアでゲリラの指導をするとともにアヌアクを、1942年リビアに転任後はキレナイカ地方のベドウィンのサヌシ教団を調査する。1946‐70年オックスフォード大学社会人類学教授。1949‐51年には王立人類学研究所長を兼任。主著として、本書のほかThe Nuer(1940)、Kinship and Marriage among the Nuer(1951)、Nuer Religion(1956、いずれも邦訳は下記参照)、Theories of Primitive Religion(1965、『宗教人類学の基礎理論』佐々木宏幹・大森元吉訳、世界書院、1967)などがある。1973年歿
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感想・レビュー

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かんやん

34
エスノグラフィーの金字塔。中央アフリカのアザンデ人は、病や不幸、不運などの原因を妖術とする。たとえば、高床式貯蔵庫の下の影で休んでいたところ、建物が崩れて来たのは、運命や偶然ではない。たしかに柱は白蟻に喰われているが、その場所にその人がいたその時に崩れたのは、妖術の作用とされる。「目の粗いカゴのようには人の心は中が見えない」(アザンデのことわざ)。他者(妖術師)の悪意・嫉妬・憎悪が妖術となって襲うのである。そこで託宣の出番である。白蟻託宣、こすり棒託宣、毒託宣(鶏に毒を飲ませる)の順に信用度が増す。↓2020/09/09

roughfractus02

10
男が建物に入ったら建物が崩れて死んだ。白蟻に柱が食われていたのはわかるが、なぜ男が入った時に崩れたのか?西洋の科学思考は因果関係(why)が複雑だと崩壊の仕方(how)で説明する。一方アフリカ中央部に住むアザンデ人は妖術で説明する。彼らには界や次元の裂け目を繋ぐ役割は神ではなく妖術なのだ。裂け目を作る出来事の単独性を避けるために託宣があり、その儀式を行う間は世界が一体化する至福が得られる。一方著者は、変化に対処するこのシステムが西洋人の侵入で拡大し、既成社会に反する秘密結社の結成を促している点も指摘する。2024/03/02

ゲニウスロキ皇子

3
大好きな民族誌。人類学における呪術研究をワンランク上昇させた記念すべき作品。かつて妖術や呪術とは未開人の因果関係の錯誤に他ならなかった。しかし、著者は綿密なフィールドワークから、アザンデの人々が物事の因果関係を認識したうえで、なおも説明し得ない部分に対する論理的な意味づけとしての妖術・呪術像を浮かび上がらせている。つまり、妖術・呪術は、ある出来事、例えば小屋の倒壊などがなぜその時・その場所で・その人に対して起こらなければならなかったのかという問いへの究極的な回答である。うーん、実にステキ!2011/09/27

ヨシツネ

1
エヴァンズ・プリチャードの呪術研究はやはり重要な研究であり研究者である2018/05/09

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