内容説明
氷雪のカラコルムK2に、霧のアンデス最奥チュルパ峰に男たちは意志を綴り、女たちは愛を織る。NHK朝の連続テレビ小説『伊豆の踊子』、映画『遭難』など赫々たる筆歴をテレビ・ラジオ史に刻むシナリオライターが雄々しくかつ嫋々と流れる文体で挑む本格山岳小説。
著者等紹介
篠崎博[シノザキヒロシ]
昭和6年、東京生まれ。青山学院大学卒業。日本放送作家協会会員。散文を佐藤春夫に、戯曲を真船豊に師事。昭和35年、「春浅くして」(NHK)、「白い壁」(週刊読売)、「修羅」(シナリオ作家協会)の各コンクールに連続入選、シナリオ作家となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamakujira
3
大学山岳会のOBとして遠征隊に参加、K2に挑んだ由木たちは後輩の日野を失いながら登頂を果たす。日野の妹を娶った由木は、次の目標として向かった南米の未踏峰で悲運に見舞われる。物語の軸は山岳小説なのに、能や音楽や絵画の話題が煩くて仕方がない。古典芸能を究める能役者と死を厭わぬ登山家の業を対比しようとしているのかもしれないけれど、ただただ散らかった印象しか受けない。実は由木は日野家に復讐を企んでいた、なんて真相があるわけもなく、悲劇的なラストも描写が平板だから、なんだか白けてしまった。 (★★☆☆☆)2019/08/03