解釈人類学と反=反相対主義

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  • サイズ B6判/ページ数 252,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622036821
  • NDC分類 389
  • Cコード C1039

出版社内容情報

「何より重要なのは、他の人々の生を私たちは私たち自身が磨いたレンズで見るし、彼らは私たちの生を彼らのレンズで見るということをはじめて主張したのが、人類学だということです」『ヌガラ』や『ローカル・ノレッジ』などで知られるアメリカの人類学者として、ギアツは文化相対主義を批判すると同時に、反相対主義も批判する。それは、文化性を越えるところに道徳性を位置づけ、文化性も道徳性もさらに越えるところに知性を位置づけることによってのみ、相対主義的アプローチを退けられると思い込んでいるからである、と。ギアツの立場は、反=反相対主義である。

本書は、日本での3回の講演も含め、アメリカを代表する知性の日本語版オリジナルの論集である。みずからの思想遍歴を語り、初期のインドネシアでのフィールドワークの実状を説明し、自分の立場を鮮明にしつつ、現代世界を論じた本書は、著者のエッセンスであるとともに、難解で知られるギアツ思想への最良の入門書にもなっている。

Clifford Geertz(クリフォード・ギアツ)
1926年米国サンフランシスコ生まれ。アンティオク・カレッジで哲学の学士号(A.B., Antioch College, 1950)、ハーバード大学社会関係学研究科で人類学博士号を取得(Ph. D., Harvard University, 1956)。カリフォルニア大学(バークレー校)助教授、シカゴ大学助教授・準教授・教授を経て、1970年にプリンストン高等研究所の社会科学部門教授となった。1982年よりハロルド・F・リンダー特別教授、2000年より同部門の名誉教授。米国を代表する人類学者として解釈学的アプローチによる「解釈人類学」を主張し、おびただしい量の濃密な著作により、人類学ばかりでなく歴史学、社会学、哲学などをはじめとする現代人文社会科学に巨大な影響を与えてきた。邦訳されている著書に『インボリューション――内に向かう発展』(1963、池本幸生訳、NTT出版、2001)、『二つのイスラーム社会――モロッコとインドネシア』(1968、林武訳、岩波書店、1973)、『文化の解釈学』(1973、吉田・柳川・中牧・板橋訳、岩波書店、1987)、『バリの親族体系』(1975、共著、鏡味・吉田訳、みすず書房、1989)、『ヌガラ――19世紀バリの劇場国家』(1980、小泉潤二訳、みすず書房、1990)、『ローカル・ノレッジ――解釈人類学論集』(1983、梶原・小泉・山下訳、岩波書店、1991)、『文化の読み方/書き方』(1988、森泉弘次訳、岩波書店、1996)がある。

小泉潤二(こいずみ・じゅんじ)訳
1948年東京生まれ。1973年東京大学教養学部教養学科卒業、1975年に東京大学大学院社会学研究科博士課程に進学後、スタンフォード大学に留学、人類学博士号を取得(Ph.D., Stanford University, 1981)。アルバータ大学・愛知県立大学・新潟大学・大阪大学の講師・助教授を経て、現在 大阪大学大学院教授(人間科学研究科)。この間1996-97年にプリンストン高等研究所社会科学部門ハンズマン招聘研究員。訳書にC・ギアツ『ヌガラ』(上掲、1990)、『ローカル・ノレッジ』(共訳、上掲、1991)。

内容説明

反=反相対主義とは、文化の政治学とはいかなるものか?本書は、日本での3回の講演も含め、アメリカを代表する知性の日本語版オリジナルの論集である。みずからの思想遍歴を語り、初期のインドネシアでのフィールドワークの実状を説明し、自分の立場を鮮明にしつつ、現代世界を論じた本書は、著者のエッセンスであるとともに、難解で知られるギアツ思想への最良の入門書にもなっている。

目次

第1部 遍歴(アジア研究と私―福岡アジア文化賞受賞記念講演;遍歴の回想)
第2部 多様性(文化の政治学―分解する世界とアジアのアイデンティティ;反=反相対主義―米国人類学会特別講演)
第3部 経済と文化(バザール経済―農民市場における情報と探索;一九世紀バリの交易拠点;インドネシアの二共同体の社会変化と経済発展―事例研究;文化と社会変化―インドネシアの事例)
第4部 展望(言われつづけてきたこと―反=反相対主義と還元論)

著者等紹介

ギアツ,クリフォード[ギアツ,クリフォード][Geertz,Clifford]
1926年米国サンフランシスコ生まれ。アンティオク・カレッジで哲学の学士号(A.B.,Antioch College,1950)、ハーバード大学社会関係学研究科で人類学博士号を取得(Ph.D.,Harvard University,1956)。カリフォルニア大学(バークレー校)助教授、シカゴ大学助教授・準教授・教授を経て、1970年にプリンストン高等研究所の社会科学部門教授となった。1982年よりハロルド・F・リンダー特別教授、2000年より同部門の名誉教授。米国を代表する人類学者として解釈学的アプローチによる「解釈人類学」を主張し、おびただしい量の濃密な著作により、人類学ばかりでなく歴史学、社会学、哲学などをはじめとする現代人文社会科学に巨大な影響を与えてきた

小泉潤二[コイズミジュンジ]
1948年東京生まれ。1973年東京大学教養学部教養学科卒業。1975年に東京大学大学院社会学研究科博士課程に進学後、スタンフォード大学に留学、人類学博士号を取得(Ph.D.,Stanford University,1981)。アルバータ大学・愛知県立大学・新潟大学・大阪大学の講師・助教授を経て、現在大阪大学大学院教授(人類科学研究科)。この間1996‐97年にプリンストン高等研究所社会科学部門ハンズマン招聘研究員
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感想・レビュー

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roughfractus02

11
相対主義でも反相対主義でもない。著者は人類学に、主義を作らないよう解釈という基盤を導入した。解釈とは「竜を飼い慣らしたり嫌ったりするのではなく、また理論の大鍋の中で溺れさせようとするのでもなく、竜をただ見つめること」であり、竜とは比喩でありその実在はわからないものの謂だ。世界を多くの類似性からなる複合体と捉えた後期ウィトゲンシュタインに倣い、著者は多数の糸が撚り合わさる「縄」に譬えた。3つの来日講演を中心に日本で独自に編まれた本書は、人々に「確信を持てなくする」ようにして多様性へと導く役割を人類学に課す。2024/04/14

中村蓮

1
現代のトレンドは脳科学だとか統計学だとか行動経済学だとか反相対主義の学問なので、そのカウンターとして読みました。 解釈学的転回を代表する論者と、現代の存在論的転回の関係を読み取れればとと思っていましたが、残念ながら完全に断絶しているようでした。2023/08/05

★★★★★

0
ギアツの来日講演と関連論文を組み合わせた、日本編集版の論文集。普遍主義的な相対主義批判には断固反論し、かといって無責任の中へ溶解していく相対主義にも組することなく、著者が持つ孤高のバランス感覚をまざまざと見せつける一冊。恥ずかしながらこれ読んではじめて気づいたんですが、ギアツってすごく現象学的な考え方をする人なんですねー。2009/06/16

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