内容説明
一郎は教員になって大きな壁にぶつかっている。かつて見えた生徒達の心が見えなくなってきた。心の闇にほうり込まれた感じである。年のせいだろうか、いやそうとは言い切れない。学級崩壊がささやかれだし、バブルの崩壊とともに確かに生徒達の心に何かが変わり始めた。教室からしだいに笑いが消えていく。冷めた雰囲気が漂う。それでも一郎はボールを投げ続けた。しかしそれは空しく闇に吸い込まれていく。「信頼」を求め、投げられたボールの行方は…?団魂の世代を生きた男の葛藤と追憶を描いた短編・掌編集。
著者等紹介
中川健治[ナカガワケンジ]
1946年生まれ。同志社大学卒。高校教諭。1993年第12回コスモス文学賞受賞(中編小説部門)
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