出版社内容情報
独自の現象学的哲学の方向を初めて詳細に展開した画期的大著。原書全2巻の1巻純粋論理学序説。
全4巻
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hitotoseno
7
カントによると人間には経験に基づいた認識のみならずアプリオリに成り立つ認識も備わっているそうではあるが、後者をもっと突き詰めることは出来んのか、デカルトのように神頼みにならず、という遠大な計画をぶち上げてしまったフッサール先生の出発点となった著作の、序論(なんせ邦訳では総1300ページあるんだから350ページなんて序の口である)。諸学は経験的事実ばかり探究しているが諸学を成り立たせる思考の枠組みが必要だろうということで論理学が研究されるのだが、段々と道行きが逸れていって心理学主義をフルボッコし始める。2016/03/09
angelooo7
3
見るからに取っ付きにくい本だが、読んでみるとグイグイ引き込まれる。哲学書などでたまに起こる身体の内から何かが湧き出るような読書体験。フッサールが何を言いたくて心理学や論理学を論じているのかぼんりやとしかわからない。ぼんやりとした理解も実は見当違いかもしれない。でもフッサールが「何か」を言いたい熱量は伝わってくる。その熱に触れて自分も熱くなる。こう言う読書が出来て本を読んでいて本当によかったな~と思う。2014/12/06
有沢翔治@文芸同人誌配布中
3
哲学の立て直し計画が立てられる。数学とは日本において計算技術というイメージがあるが、それは数学教育のせい。本来は証明の仕方、物事の考え方について問う学問なのである。心理学とは精神分析でもなければ、実験心理学でもない。認識の仕方を問うている。フッサールはこの両者を結びつけることで世界の認識についてより確かなものを見付けようとしたのである。2014/09/08
Bevel
0
僕はそもそも学の基礎付けなんて無理だって思う。だからこそ、基礎づけに一生賭けた彼とは仲良くできそうって感じる。:矛盾律の例をひき、経験から帰納することによって学を成り立たせようとする心理学主義は、最終的にある種の「信じること」にたどりつかざるをえない。しかし、それでは非時間的なものである学を支えることはできないのではないか、とまとめてみた。2010/03/30