出版社内容情報
自動車、広告、テレビ、漫画など、現代マス社会の多様なメディアの本質と機能を分析した古典。
内容説明
テレビ、ラジオ、広告、自動車など現代の多様なメディアの本質と機能から、文化と社会の変容を探る。エレクトロニクス時代の見取図を示すブリリアントな思考と透徹した洞察力。
目次
メディアはメッセージである
話されることば―悪の華?
書かれたことば―耳には目を
数―群衆のプロフィール
住宅―新しい外観と新しい展望
貨幣―貧乏人のクレジット・カード
漫画―『マッド』―テレビへの気違いじみた控えの間
写真―壁のない売春宿
新聞―ニュース漏洩による政治
広告―お隣りに負けずに大騒ぎ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とみぃ
18
「メディアはメッセージである」―つとに人の口に膾炙した言葉であるけれど、はじめて生に触れた。メディアの性質とメディアの内容を分節しようとする方法的な態度が、この一言にギュッと詰められているわけである。メディアのメッセージとは、それによって人間世界に引き起こされるスケール、ペース、パターンの変化であるとのこと。最近もツイッターによる人身攻撃が話題になったけど、ツイッターに書き込む内容を見直しましょうというのでは不十分で、ツイッターというメディア自体が引き起こす私たちの振る舞いに注目しましょうということか。2020/07/19
サイバーパンツ
14
本書でいうところの「メディア」は今私たちが用いている意味とは違い、人間の開発する技術いっさいのことを指す。そして、そのメディアはメタファーでもなんでもなく、我々自身の身体の一部を文字通り「拡張」したもの(例えば、服は皮膚の拡張、住宅は体温調節機構の拡張、交通機関は足の拡張という風に)だ。また、それは流動的で日々変形していく(させていく)ものなので、功罪は使い方次第という考えはメディアの本質を捉えていない。「メディアはメッセージである」のだから、メディアの内容ではなく、メディア自体を理解することが重要だ。2016/05/31
はすのこ
10
日頃、スマホをポチポチする我々はメディアを消費している。本書は、メディアを消費する者全てにとっての正典(Canon)だ。メディアとは何か、機能性、が本書では追究されている。メディアの価値となれば、ベンヤミン。メディア=物語の変質、消費となれば、リオタール〜東浩紀、なるのだろう。メディアを学ぶ者は、必読対象ではないだろうか。2016/07/17
roughfractus02
9
「われわれはその中枢神経組織自体を地球規模で拡張してしまっていて、わが地球にかんするかぎり、空間も時間もなくなってしまった」。電子メディアは文字を黙読し、個々人に分割する分業体制としての世界を統合して人間の「拡張」の臨界に達した、と本書はいう。インターネットを思わせる著者の「グローバル・ヴィレッジ」構想は、電子メディアが紙等の媒介なしに神経系へアクセスする事態を指す。一方、モニターをスクロールしザッピングしつつ書物の紙面を模した電子書籍の文字を追う時、人はプラットフォームなる現代の表現形態を自身に見出す。2019/06/14
ひばりん
8
「ホットなメディアとクールなメディア」(ラジオ/電話、映画/テレビ、写真/漫画、講義/演習、書物/対談)の区別で有名な書物。ホット/クールの定義として高精細度/低精細度が挙げられるが、これには批判が多い。むしろ排除原理/包摂原理という副定義が魅力的。マクルーハン自身、ジョークや悪戯、茶化しをして怒られるのがホット、むしろ推奨されるのがクールだと強調する。だとすれば、これはタカハトゲームに似た議論なのだ。メディア内容を茶化すメリットとコストがメディア形式によって違う、という発見だと理解すればよい。2021/02/15
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- 和書
- ともえ 角川文庫