内容説明
ホワイトヘッドはわれわれの時代の最も偉大な哲学者の一人であり、彼の哲学を体系的に叙述した主著『過程と実在』は最も傑れた哲学書の一冊である。しかし、この書が1929年に刊行されたとき、それは多くの印刷上の誤り、英国版とアメリカ版との齟齬を含む悲しむべき状態にあった。従ってホワイトヘッドの『過程と実在』に比べれば、プラトンの『国家』の方がより良いテクストで読みうるとさえ言われる。それから半世紀、グリフィンとシャーバーンによるこれ以上は望みえない校訂版が公刊された。本書はこの決定版に依拠する最新訳である。その重要性において、その難解なまでの言語の駆使において、ジョイスの『フィネガンス・ウェイク』にも比せられるこの講義で、ホワイトヘッドは自ら“有機体の哲学”と名づける哲学の体系を構築する。そこでは17‐18世紀の哲学者―デカルト、ニュートン、ロック、ヒューム、カント―を検証しつつ、無限の宇宙を有限な言語的表現で把握すること、宇宙論的観念を人間の多様な経験と結びつけることが意図されている。ここにわれわれは確かに、われらのコスモスに対する新しい解明、新しい光を受けとるであろう。
目次
第1部 思弁的図式(思弁哲学;範疇的図式;若干の派生的概念)
第2部 議論と適用(事実と形相;延長的連続体;自然の秩序;有機体と環境;ロックとヒューム;デカルトからカントへ;主観主義原理;象徴的指示;命題;過程)
著者等紹介
ホワイトヘッド,アルフレッド・ノース[ホワイトヘッド,アルフレッドノース][Whitehead,Alfred North]
1861‐1947。1861年2月15日イングランドのラムズゲイトに生れる。1880年ケンブリッジ大学トリニティ・コレジに入学、数学を学び、1885年より同コレジのフェロー。1890年イーヴリン・ウェイドと結婚(のち2男1女をもうける)。1913年英国数学会会長。1911‐24年ロンドン大学で応用数学を講ず。1924年秋よりハーヴァード大学哲学科教授。1938年同大学名誉教授。1945年オーダー・オブ・メリット勲位を受ける。1947年12月30日マサチューセッツ州ケンブリッジにて没す
平林康之[ヒラバヤシヤスユキ]
1926年東京に生れる。1948年東京大学文学部卒業。1973年より名古屋大学教授、1988年より名古屋大学名誉教授、愛知工業大学教授。2006年6月22日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
34
Bartleby
roughfractus02
wadaya
鴨長石