内容説明
現代ギリシャ最大の詩人といわれるコンスタンディノス・ペトルゥ・カヴァフィスの詩集の全訳である。これに死後刊行された主として初期の詩のうちから、キーリーとシェッパードの英訳詩集に採録されている優れた詩21篇を補った。近代ギリシヤの「ふしぎな美しい」詩の世界。官能的世界、ホメーロス的世界、勇気ある人間の世界。鋭い感受と暗い微妙の複合。その全詩を透明な知的な日本語で見事に再現する。1500部限定。
目次
壁
老人
アキレスの馬
祈り
サルペドンの葬儀
ろうそく
第一段
老人の魂
大いなる拒絶をなせし者…
中断
アレクサンドロス・ヤナイオスとアレクサンドラ
美しい白い花
開け、おまえはスパルタの王ぞ
同じ空間で
玄関の広間の鏡
彼は品定めをした
世話を焼いてくださっていたら
古代ギリシャ系シリア人魔術師の処方によって
紀元前200年
1908年の日々〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまぞう
1
ちょうど百年ほど前の時代を生きたギリシャ詩人の全訳詩集。内容は歴史・哲学・愛欲といったテーマを、古代から現代までの時間軸を自在に行き来しながら詠ったもの。T.S.エリオット『荒地』にも比肩するという評もあるとか。E.M.フォースターによるエッセイも収録。ヴァレリー『若きパルク/魅惑』もそうだが、中井久夫の日本語訳は端正で美しい。訳注も西洋文化についての該博な知識に裏打ちされたもので、氏の常人離れした深い教養に畏れ入る。味読には歴史の理解が必要だと痛感。「何年も続くのがいい旅だ」と謳う「イタカ」がよかった。2022/08/25
kiriya shinichiro
0
同性愛の詩があるときいて……訳文はとてもいいし解説も簡潔でいい。なるほどと思うところもあります。ギリシャ語から英語、そこからの重訳だけどね。自分に詩を読む資質があったらもっと面白いんだろうな……。2019/11/10
canabi
0
30−20182018/04/26