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内容説明
1920年、少年を含む22人もの殺害をしたアメリカ史上最悪の大量殺人犯の全貌が今、明かされる。あまりの衝撃的内容に300部の限定発行とされ、全米メディアが沈黙し続けた問題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
28
善人にも悪の命があるように、悪人にも善の命がある。カール・パンズラムの凶悪性は、生来のものではなく、環境が生み出したもの。刑務所における彼への壮絶な拷問、体罰を見れば頷ける。そんな彼に善性の欠片があることを信じた新所長マーフィーは、必ず夕方戻ってくることを条件に、日中の外出を許可する。それを守ったパンズラム。驚く同囚。だが、ある日、誘惑に負け、脱獄。絶望したマーフィーは、一転パンズラムの敵となる。しかし、人の命は、縁に触れ瞬時に移り変わるもの。マーフィーの哲学は、それも織込み済みではなかったのか。2023/06/25
たまきら
22
「アメリカの刑法を変えた殺人犯」とも称された、この犯罪者の言動の鋭さに興味をひかれて。アメリカ版「無知の涙」といったところでしょうか。生まれながら持った因子に加え、崩壊家庭、貧困、ネグレクト、レイプ、虐待、暴力…。出会った人間に悪しか見いだせなかった男の悲惨な人生とそれが生み出した犯罪の告白におののきました。特に刑務所の拷問への怒りの描写はすさまじく、まさに犯罪と刑罰の教科書です。そして、彼は手記をただ一人自分に親切にしてくれた「看守野郎」に遺しました。告解を拒み、絞首台に駆けあがったと伝えられています。2017/12/11
ハル
3
彼が異質なのは多くの連続殺人鬼と違い、殺人の動機に性欲が絡んでおらず、憎悪のみが原動力になっていること。彼がこうなったのは育ちのせいと、幼いころにホームレスからひどい仕打ちを受けたからとした言いようがない。彼が人間と共感できない怪物ではなく、育ちのせいで狂ってしまった人間だというのは、仲の良かった看守とのやりとりを読めばわかる。2011/07/14