出版社内容情報
生命・生物とは何か、を偶然から必然へという宇宙の過程より論じた生物学への思想的問いかけ。1972年初版
2002年5月12日の日本経済新聞読書欄・半歩遅れの読書術のコーナーで、中村桂子さんが、ハイゼンベルク『部分と全体』とともに、本書をあげ、科学者の人間の魅力に満ち、人間を考えようとする本である、と紹介。
自然科学書のロングセラー
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
59
大学入学間もなく読んだっけ。数十年前か。あまりにポレミカルな書。再読したが理解は及ばなかった。書庫に残ってるか。新たに解説を付して文庫入りしてほしい。
ケニオミ
7
恐らく、連れ合いが購入して積読状態にしていたものを、僕が引き継いで積読状態にしていたものだと思われます。ある程度の生物学および哲学の知識がないと理解が難しいと思います。僕は生物学のバックグラウンドがないため、非常にてこずりました。何とか読了はしましたが、著者が読者に期待してい理解の半分にも到達できていないのではないでしょうか。取り敢えず、積読状態の本が一冊少なくなっただけかな。2015/03/22
tolucky1962
5
生物から根本へ。生物の不変的複製,合目的的活動,自律的形態発生。合目的性は客観性科学に矛盾。生気説:生物のみ合目的性を認める。生命は非生命と異なり物理では説明できない合目的性を認める。物活説:合目的性は普遍で生物は顕著例。精神なしに自然に目的を挿入。生物構造はタンパク質の識別性に基づく。DNAは無方向に突然変異する。淘汰は生存競争+種の増殖率の差。新タンパク質は合目的の一貫性を試験される。脳の発達で主観表現し思想による治世。言語により環境を支配。人同士の闘争が淘汰の主因となった。2025/05/24
Galilei
5
大学の生物学の講義で教授から薦められた一冊。難しいことは別にして、例えば身近なテーマでは、平家ガニはたまたまその形状と生息地の故、人間と深いかかわりによって生き延びてきた。既成概念を覆す目からウロコの貴重な一冊です。
roughfractus02
4
遺伝子の発現は転写の段階で制御される。サイバネティクスを用いてこの機構の単位にオペロンという語を用いた著者は、生物を合目的性(タンパク質の構造)を持ち、自律的に形態発生し、不変的に複製する(DNA)と捉える。その際生物の進化は「保存機構」=不変的に複製する機構の「不完全さ」に起因するとして、エントロピーの増大する不可逆的時間の中に生命を置いて、我々もまた不完全さによる偶然と時間の必然の中に存在するという世界観を提示する。このような世界では偶然の価値が重要な役割を果たし、真の知識より知識の倫理が重視される。2017/10/03