出版社内容情報
ツヴァイク独自の着想と手法で描き出す巨匠、バルザック、ディケンズ、ドストエフスキーの世界。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
62
『三人の巨匠』て取り上げられているのは、バルザック、ディケンズ、ドストエフスキー。ツヴァイクは、一つのことに情熱的にとりつかれた人物を描くのを好んだ。登場人物が情熱につき動かされているという点では、バルザックやドストエフスキーが好みだったようだが、バルザックに関しては登場人物たちが社会における典型的なタイプであるという点で自分が描く世界とは違うと感じている。最も好きだったらしいドストエフスキーについては熱に浮かされたように語っているが、ここまで語れるようになるためにどれほどドストエフスキーの作品を読み⇒2022/03/31
星落秋風五丈原
26
バルザックについては、鹿島茂さんも書いているように、ナポレオンの影響をもろに受けた世代である。生まれ落ちた1799年が帝政の始まりで少年時代は「名もない一人の男が、何の伝手も持たぬよそものが、素手一貫でパリを得、そしてフランスを、そして全世界を手に入れる」ナポレオンを見ていた。我こそは!と思っても不思議はない。規格外上等主義のバルザックに対してディケンズは伝統重視主義だ。それはバルザックが革命と動乱を経験したフランス人であり、ディケンズが革命に遭遇していないイギリス人であることにも関係する。2022/04/29
貴人
1
三人の小説家、バルザック、ディケンズ、ドストエフスキーとおまけにモンテーニュの物語。三人の中で白眉は、巨人バルザックです。ツヴァイクは彼が好き過ぎて後に一冊書き上げることになります。しかし、私としてはモンテーニュが一番印象に残りました。世間の暴風なぞどこ吹く風で塔にこもって己を磨き、旅に出れば自由に何物にも囚われず生きた男。最後はその叡智と、毅然とした中立ぶりから左右の調停者として偉大な活躍をすることとなる。第二次大戦のさなかにこの文章を書き、自殺したツヴァイクの想いは如何ほどだったのか私なぞにはわかるは2014/10/04