出版社内容情報
好評を博した『シリーズ生命倫理学』が手に取りやすい装丁にて復活!
ある観点から、生命倫理は、「医療倫理」と「医学研究の倫理(研究倫理)」の大きく2つに分けることができる。その観点とは、言い換えれば、「医療と研究の違いは何か」ということである。 この2つの本質的な違いは、それを行う行為にある。医療の目的は、患者によい結果をもたらすことであるのに対し、研究には、患者にとってかならずしも良いことをなすという目的は存在しない。研究における患者のリスクは、医療行為に比べて一般に大きく、研究には強い倫理的介入が求められる。人を対象にした研究のみならず、動物実験においても倫理性の確保が必要なように、人々の幸福に影響を及ぼすものであれば、研究倫理の適用範囲に含まれる。本書はこのような観点で、今日の研究倫理があつかう領域を網羅するように構成されている。
【目次】
第1章 歴史的背景
1 19世紀末から第二次世界大戦前までの医学研究倫理
2 ナチスの医学犯罪と国際的基準の確率
3 第二次大戦後の米国における人体実験スキャンダルと医学研究政策
4 日本の課題
第2章 倫理原則と指針
1 ニュルンベルク綱領――1940年代:研究倫理の原点
2 世界医師会ヘルシンキ宣言――1950~60年代:臨床研究の憲法
3 ベルモント・レポート――1970年代:羅列からの脱却
4 人を対象とする生物医学研究の国際倫理指針――1980年代:包括性と具体性の両立
5 日本の研究倫理――1990~2000年代:倫理指針の乱立
6 2010年代はどこへ向かうのか
第3章 倫理審査委員会
1 倫理審査委員会の歴史
2 研究指針における倫理審査委員会
3 指針で定められていない審査過程
4 諸外国での倫理審査委員会の状況
第4章 医学研究と法
1 医薬品・医療機器の知見に関する規制
2 医学研究におけるインフォームド・コンセントの要件
第5章 医学研究とインフォームド・コンセントの要件――主要な三つの政府指針を参照して
1 インフォームド・コンセントとその要件を支える理念
2 インフォームド・コンセントの要否
3 インフォームド・コンセントの要件
4 インフォームド・コンセントを得ずに医学研究を行うことができる場合
第6章 研究方法とバイアス
1 疫学の目的と因果推論,生命倫理学
2 疫学の指標――疾病量の指標
3 疫学の指標――影響の指標
4 研究デザイン
5 観察と介入
6 誤差――チャンスとバイアス
7 チャンス(偶然の変動による誤差)
8 バイアス(系統的誤差)
9 メタ分析およびエビデンスグレードなどの因果のランキングについて
10 疫学で必要な統計学の基礎
第7章 研究者の不正行為と発表倫理
1 不正行為と発表倫理
2 不正行為の定義
3 研究構成局の総説と展開
4 レフェリーシステム
5 オーサーシップ
6 出版バイアス
第8章 医学研究と利益相反
1 利益素半概論
2 系と海外の議論の性格
3 利益相反をめぐる主な論点
4 展望
第9章 ヒトゲノム解析研究
1 ヒトゲノム解析技術・研究の発展
2 ヒトゲノム解析研究に係る倫理的問題
第10章 トランスレーショナルリサーチと生命倫理
1 医療としてのトランスレーショナルリサーチ
2 トランスレーショナルリサーチとは何か
3 基礎研究の社会還元・保険医療化に向けたトラック
4 医学研究にかかる生命倫理の歴史
5 「人格の尊重」・「善行」・「正義」の原則から見たト



