内容説明
プロ棋士に勝ったAIは「弱い」?!人工知能の実像に迫る9名へのインタビュー集。
目次
チューリングの手のひらの上で 話し手・松原仁
次のブレークスルーのために 話し手・山田誠二
強いAIの前に弱いAIでできること 話し手・松尾豊
汎用人工知能と真の対話エージェント 話し手・東中竜一郎
人工知能が将棋を指したいと思う日 話し手・羽生善治
脳・身体知から自動運転まで 話し手・我妻広明
全脳アーキテクチャ―汎用人工知能の実現 話し手・山川宏
大人のAI・子どものAI 話し手・栗原聡
強いAIとは何か 話し手・中島秀之
著者等紹介
鳥海不二夫[トリウミフジオ]
東京大学大学院工学系研究科准教授。2004年東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム専攻博士課程修了後、名古屋大学大学院情報科学研究科助手、同研究科助教を経て2012年より現職。研究テーマは計算社会科学と社会における人工知能応用(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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buchipanda3
107
人工知能は強いAIと弱いAIに分類される。現在実現しているのは弱いAI(自動運転など)まで。本書では人工知能、言語処理、脳科学の研究者や羽生さんと強い弱いAIの先行きを議論している。元々、強い弱いの定義はサールの言葉が起点のためか、哲学と情報学という異分野の観点が交差し、さらにAIの適用が生活向けなので学術的な論理だけではなく感情的な思考も含まれるのが興味深い。強い弱いの違いは我妻さんの猿の事例がしっくり来た。深層学習に対する見解の違いが各所にあったり、人の脳分析からの汎用化の話などもなるほどとなった。2021/02/16
宇宙猫
17
意識や自我は今の科学では定義できないから、科学・工学+哲学って感じで何となく座りが悪い。研究者がそれぞれ思う方向へ研究しているんだけど、いくつも読むと重なる部分も多くて途中で飽きてしまい、パラパラつまみ読み。2020/11/28
禿童子
17
強いAIを「意識」を持つAIとするならば、現在、研究と開発が進められている人工知能はすべて弱いAIである。アトムも生まれなければ、シンギュラリティも到来しないという結論。気になるのは日本人研究者のインタビューしか出てこない点。産業への応用(画像認識、自動運転など)は着実に進むが、ディープラーニングを超える発想は見られない。想像もつかないと言っていた量子コンピュータも、去年の11月に発表されたことを思えば、狭い日本の研究者には見えていない思わぬ展開もあるのでは。「意識」の定義は学界の中でも固まっていない。2018/01/07
nbhd
16
2017年の本。AIって知能を持っててスゴイね!と、今もよく勘違いされるわけだが、実際は、強いAIと弱いAIに大別できる。そんな勘違いを取り除きましょう、といった内容の対談集。強いAIとは、いわゆる知能を持った汎用型AIのことで、ドラえもんみたいなやつだ。一方、弱いAIは課題特化型AIのことで、将棋強い!みたいな1つの課題に特化して、人間の知能を超える結果を出力する。興味深かったのは松尾豊先生との対談。松尾さんによると、画像認識分野で深層学習が著しい結果を出した2012年には「追従モード」に入ったとのこと2024/03/24
izw
4
本棚に積読されたままになっていた本書をひっぱりだしてきて読んでみた。自らも人工知能の研究者である鳥海先生が、松原先生、山田先生、松尾先生、東中さん、羽生さん、我妻先生、山川さん、栗原先生、中島先生という日本で人工知能に関してそれぞれの分野の第一人者と人工知能について対談している。強いAIは可能か、という問題意識がベースにあるが、それにこだわらず、現在のAIの限界について、あるいは短期的・長期的な可能性について、それぞれの立場から自由に話をしている中に、信念・確信・期待が垣間見え、非常に興味深い。2019/10/09